悠也が転校してから、1週間経った。
その後から私が悠也と話しているのが多いのを皆見て、私達のカレカノ説が始まった。
悠也はそれを聞いて嬉しそうな顔をしている...
自由な子だなぁ。
ニヤニヤ隠せ、バカ。
私はそう思っていたが、パフェが大好物だから、許した。
wwwwwwww
軽すぎでしょ、私。
ウキウキしながら、放課後を待った。
「キーンコーンカーンコーン」
「ちゃんと宿題してこいよ〜」
予鈴が鳴って、学校終了。
私は、塾がないから、いつもフリー。
私達は学校を歩いて出た。
すると、悠也の衝撃的発言。
え、うちの学校禁止だよね、チャリ登校。
センセーにバレたら殺されるで。
そう思いながら、私は悠也を見て、頷いた。
私がそう言うと、茂みから自転車を取り出している悠也が見えた。
わあああああああ
殺される...
意外としっかりしてるところあるんじゃん...
私はそう思っていると、もう後ろに座っていた。
悠也は良い不良グループの団長。
凄い強いんだよ。
あー、和風系じゃない、悠也は。
私はそう思いながら、笑った。
そう言っている間に、パフェのお店に着いていた。
悠也がそう言うと、その声と重なるように、知っている声が聞こえた。
紗千の声が聞こえた。
あぁ...嫌だ。
それに気づいた悠也は私の手を優しく握った。
やっぱり落ち着くんだ、悠也の手。
「いらっしゃいませ〜」
「こちらへどうぞ〜」
ボックスシートに案内されて、私達は座る。
メニューを開けると、最初のページは飲み物だった。
そして、次のページに、パフェの色々な種類が書いてあった。
桃、レモン、フルーツ、チョコレートなどなど。
私はレモンをジッと見つめた。
悠也はチョコレートのパフェをガン見。
あ、コイツ甘党だった。
「ご注文はお決まりでしょうか〜?」
私がそう言うと、悠也はニコリと笑った。
あ、やべぇ...
「は、はいっ!」///
店員さん赤くなってるじゃん...
私が困った顔をしていたのか、悠也は私の頭をポンポンッと優しく撫でた。
そう言う問題じゃないッ!
と言おうと思ったが、カッコいいから許す。
私はケータイを出す。
悠也のケータイのケースは黒いバックグラウンドに赤いインクが散りばめたようなケース。
不良感が出てて、かっこいい。
私のケースは海のウェーブ系。
めっちゃ綺麗。
え...
私が、綺麗!?
私は急にドキドキしてしまった。
はぁ...
スマホケースのことならちゃんと言ってよ!
私の顔が曇ったのを気づいたのか、悠也は少し笑った。
なんで赤くなるの。
私は風夜のことが好、きなんでしょ..?
私は思わず考え込んでしまった。
私は誰が好きなの...?
「お待たせ致しました。
チョコレートパフェとレモンパフェでございます。」
店員さんの声っを聞くと、私は我に返った。
心配そうな悠也の声を聞いて、私は笑顔を作る。
私がそう言うと、悠也は笑って頷いた。
すると、後ろのシートから声がした。
「お待たせ致しました。
いちごバフェとコーヒーパフェでございます。」
紗千と風夜の声。
すると、紗千が私達に気づいたのか、声が高くなった。
私がまた顔を曇らせたのに気づいたのか、悠也は写真を素早く撮り、自分のパフェをパクリと食べた。
食べているのを見て、私も手を動かす。
二人でパフェ食べに来てるんだから、楽しまないと。
レモンパフェが掬ってあるスプーンを口に運ぶ。
私がそう言うと、悠也は自分のパフェを掬って、私の口に運んだ。
何あーんしようとしてるのよ、このバカ!
私がそう思っていると、もう口の中にはスプーンが入っていた。
甘いチョコレートの味が広がる。
甘すぎ...
悠也が一口食べると、すぐに顔色が変わった。
あー、この人レモン嫌い系なのかな。
酸っぱいくて美味しいのに...
私が思っていると悠也は少し笑ってしまった。
私はニコリと笑いながら、自分のパフェを食べた。
その時に、悠也がもう食べ終わっているのを気づいた。
ニコリと笑う悠也を見ると、胸がキュッとしまる。
私は風夜が好き。
好き...なの?
分からなくなってきた。
私は誰が好きなの。
悠也はまた悩んでいる私を見ていた。
ボーッとしながらパフェを食べていると、パフェがあっという間に無くなった。
悠也は素早く会計を終わらせて、私に言いながら、私の手を引いた。
その時、私は見えてしまった。
風夜が私達の事を見ている事を。
あの悲しそうな、辛そうな、目で見ていることを。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。