お母さんと挨拶を交わして僕たちは家を出た。
晃哉と並んで通学路を歩く。
なぜかって?
実は昨日、晃哉をボコボコ(主に精神的に)した少し後にあ母さんが帰ってきて、晃哉が僕と同じ学園に通うことになったと告げられたのだ。
晃哉も知らなかったみたいで2人そろって青ざめていたのを覚えてる。
お母さんがいないときのことを晃哉が告げ口するかもっと思ったがそんなことはなかった。
自分が先に手を出した手前、言いづらかったのもあると思うけど。
家を出てからこっちを見向きもしない晃哉に声をかけた。
するとボソッとした返事が返ってきた。
そう言って晃哉はまたそっぽを向く。
こっちとしてもそう思ってもらえるのはとてもありがたい。
晃哉は全然納得していないようだったけど、僕が黙ったからこれ以上は聞いてこなかった。
そして気まずい雰囲気に耐えながら歩くこと10分。
やっと校門が見えて、中に入った。
僕のことでキャーキャー騒ぐ生徒達を晃哉はポカーンと見ていた。
晃哉はぶっきらぼうに言い放つとどっかに行ってしまった。
ほんと晃哉は予想通りに動いてくれるからマジで楽なんだよな~。
むしろあいつらの方がめんどい...。
てか、あいつ職員室の場所分かるのかな?
まっ、いっか。
教室に入ると凪沙がすごい勢いで走り寄ってきた。
あー...凪沙にはどんなやつか言ってなかったもんなー。
凪沙の勢いは止まらない。しかも彼氏とか言ってきたし。
僕が説明すると凪沙はやっと落ち着いてくれた。納得してくれたみたいだ。
凪沙は心底不思議そうに聞いてくる。
これ以上はめんどうだな...。クラスの子達も見てるし...。
僕は時計を指差してさりげなく話題をすり替えた。
凪沙が席についたのを確認して僕も席についた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。