第63話

貴方はまた
29
2026/03/31 01:27 更新
あなた
研究所で出来損ないになったら処分されるんです
だからずっと人を蹴落としてました
あなた
ずっとずっと、誰も待ってないのに、帰りたくて
あなた
どんな恨み言を言われても、罵倒されても
同じ様に帰りたいと思ってる子でも、蹴落として
あなた
殺してるんです、私は、人を
薄刃 新
それは貴方のせいじゃないでしょう
研究所が作った身勝手なルールです
薄刃 新
それに、使用人の方が待ってたじゃないですか
あなた
…迷惑掛けてますよ、私
医者を探してもらって、薬や、介護や
あなた
……私が犠牲になって、1人でも命を救えたら良かったのに
薄刃 新
……
薄刃 新
貴方だから、薄刃の異能に耐えれたのでは?
あなた
(…確かに、馴染めなくて衰弱死した子達が居るけど…)
薄刃 新
研究所内の調査で見つけた資料には、生存者は貴方しか居ませんでした
薄刃 新
それでも犠牲になっていた方が良かったと?
あなた
……
あなた
(…何で私なの…?)
神様は何で残酷な人生にするの?
あなた
…短命故の事なんでしょうか
薄刃 新
……
あなた
小さい頃、何度も余命宣告を受けてました
何度も生きながらえて、いつしか信じなくなりました
あなた
余命宣告もなくなって、今はいつ死ぬかも分からない命です
なのに何でこうも残酷なんでしょうね
話ながら徐々に苦しくなっていって、涙が堪えられなくなっていった
薄刃 新
…本当に、今まで良く頑張りましたね
薄刃 新
もう大丈夫なんです、貴方は1人じゃない
償いならいくらでも方法があります
新さんが床に跪いて、右手を両手で包み
祈るように顔を伏せた
薄刃 新
一緒に生きてください、もっと頼ってください
こんな形でも家族なんですから
あなた
っ……
ここまで言ってくれる人を、私は知らなかった
あなた
…はい
あなた
(___何で思い出したんだろう)
戦ってる最中に、何で
あなた
(…あの時から、ずっと償ってるなぁ)
あなた
(軍に入って、オクツキと戦って
何を言われても何をされても我慢して)
あなた
(…結局、これは償いになってるのかな
自己満に過ぎないのかもしれない)
うまく攻撃を避けれなくなっていって、切り傷が増えてく
悲鍟 霜ひしょう そう
…もうすぐ死にますよ、あなたの下の名前
あなた
(……死ぬなら道連れにしてやる)
火の玉を飛ばして、斬りかかる
悲鍟 霜ひしょう そう
意識を保つだけで精一杯ですよね
あなた
っ"!!
腹を膝で突かれて、口から血が少し出た
あなた
ひゅ…はぁっ……!
あなた
(全身が痛い、呼吸するだけで痛くなる
手足に力が入らないし、力を使いすぎてる)
あなた
(…もう、ダメなの…?)
項垂れて、刀を支えにして立つのが精一杯だった
悲鍟 霜ひしょう そう
今、楽にしてあげます
あなた
(…近づいてきた時に、残ってる力を全て使えば___)
薄刃 新
___あなたの下の名前!!
後ろから何かが割れる音と同時に、声が聞こえて振り返った
あなた
!!…









右手を引っ張られて、非鍟の刀は地面を刺した
あなた
(…あの時と同じ…)
貴方を好きになった時と同じ
手を握ってくれて、救ってくれた
心強くて、暖かかった
薄刃 新
…もう大丈夫ですよ
優しく抱きしめてくれて、またそう言ってくれた
あなた
(……本当に、優しい人…)

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