第62話

保護
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2026/03/30 02:12 更新
薄刃 新
___昨日から食事あまり食べてませんよね
ちゃんと食べなきゃ耐えれませんよ
ベッドに座ってると、香を焚く準備をしてる新さんがそう言った
あなた
…すみません
研究所では満腹になる量は出なかったし、弱ってる子に分けたりして、帰ったら幻覚で
まともに食べれた事なんてない
あなた
(それに満腹になると吐きそうになるし、実際吐いた事もあるから…
なんて言い訳、考えたくないけど)
目を反らしてると、横に新さんが座った
薄刃 新
…嫌だったり1人になりたい時は言ってください
遠慮しないでくださいね
あなた
ありがとうございます
香に火をつけて、効果を待つ
あなた
…そういえば、新さんは大丈夫なんですか?
誘発させる香なんですよね
薄刃 新
私は大丈夫です、制御できるので
あなた
(良かった)







あなた
___はぁ……
薄刃 新
大丈夫ですか?
あなた
……大丈夫です…
精神的に…息しずらくなってるだけで…
薄刃 新
(…やっぱり、私より力が強いんでしょうね
血の持ち主は)
血の持ち主が操ってた幻覚をそのままあなたの下の名前さんに移したのだから、力の差が分かってしまう
逆を言えば、弱い力だったら慣れるまでそれほど掛からなかっただろう
薄刃 新
(慣れるまで1週間以上は掛かるでしょうか…
早めに帰してあげたい所ですが)
あなた
(こんなの…異能のせい…
分かってる筈…)
「___消えるよう念じる、とか」
あなた
(……消えて)
あなた
(消えて…早く消えて…!
私の体なら主導権は私の筈でしょ!)
あなた
(新さんも協力してくれてるのに…!)
薄刃 新
力、込めすぎですよ
はっと我に帰って、自分の左手首を右手が強く掴んでいた事に気づいた
右手を離すと、少し爪が食い込んだのか手跡と一緒にぷつっと血が滲んでた
あなた
……
薄刃 新
これは幻覚じゃないです
今、幻覚はどんな感じですか?
あなた
…全身が小さい口に噛まれるような痛みがあります
所々痛みが強くて…
あなた
あと、視界端にチラチラと…肉塊が見えます
薄刃 新
肉塊はどこにありますか
あなた
…窓枠や、椅子とか、机の上に
答えると隣に居た新さんが立って、机の上や椅子の背に触れる
薄刃 新
何もありません
香を焚く前と同じ部屋ですよ
あなた
(同じ…)
優しい人だなと安心すると、少し怖さが和らいだ
薄刃 新
1時間経ちましたが、容態は___
あなたの下の名前さんを見ると、右手で二の腕を掴んで、視線を反らして唇を噛んでた
薄刃 新
…あなたの下の名前さん
肩に触れると、気づいたのかハッとしてこっちを見た
あなた
…すみません、何ですか
薄刃 新
不安を和らげる為に私が居るんですよ
あなた
……
薄刃 新
今は何が怖いんですか?
あなた
…幻聴が、聞こえてて…
研究所に居る時の声とか、罵倒とか…
あなた
良く聞こえてくるんです、こういうの
薄刃 新
…自分を責めたいからですか?
あなた
!…
あなた
…逆に、責めないという選択肢はありますか?

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