Bang chan side
ある日の帰り道、
例の如く徹夜で作業部屋にこもっていた日。
まだ日が昇り立てで薄暗い時間。
ほとんど人通りもなく、澄んだ空気に包まれている。
みんな寝てるかな?
カトクを開くも誰からもメッセージはなく、特に問題がなかったんだなって安心する。
宿舎近くで1人の女性がくしゃみをしながら歩いていた。
特段なにかおかしいわけじゃないんだけど、なんだか知っている人のような気がしてならなかった。
季節は春を終えた頃、
もうそんな着込まなくていいのにダウンジャケットなんて着てる。
人違いだったら去ればいい。
そんな思いで声をかけると、あなたさんだった。
少し期待をしていただけに、顔を見た瞬間ににやけてしまう僕の表情筋。
えへへって笑いながら距離を取り始める。
不思議に思いながらも、僕からまた近づくとすぐにまた逃げられた。
ブンブンと頭を振ってイヤイヤするもんだから、いててて…って頭を押さえてる。
目は少し充血してるし、鼻詰まりと咳もあるし、
結構辛いだろう。
僕は明日オフだから丁度いい。
遠慮するあなたさんは観念したのか、僕の後ろを歩いて、道を案内する。
宿舎から5分ほどの高級マンションに、あなたさんは住んでいた。
こりゃすごい…
玄関先でいきなりしゃがみ込むあなたさん。
おでこを触ると酷い熱だった。
急いで寝室を見つけてベッドへ運ぶ。
少し上体を起き上がらせて飲ませると、ポタポタと服に溢れてしまう。
力が入らないから、うまく飲めないんだ…
少しの間あなたさんに背中を向ける。
「も、だめ…」と聞こえて急いで振り返ると、下着姿に頭だけTシャツを通したあなたさんが横たわっていた。
おい、俺!!今は緊急事態だ!!!
と心を鬼にして服を着せた。
鍵を拝借して、近くのスーパーへ走る。
食べれそうなものや飲み物を片っ端から買って、マンションに戻ると、すやすや寝ている可愛いあなたさんがいた。
買ったものを片し、
最後に頭を撫でて部屋を出ようとすると、服をツンッと引っ張られた。
僕の手のひらを持って、頬にすり…と擦り付ける。
猫みたいな仕草に、心臓が暴れ出した瞬間、あなたさんが僕を見て微笑んだ。
ふたたびウトウトする彼女の頬を撫でる。
マンションを出て宿舎に戻ると、
僕は一気に崩れ落ちた。
馬鹿みたいに顔が熱い。
僕はそのままベッドに横になって、
気絶するように眠りに落ちた。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。