Seungmin side
ホテルに戻った僕らは、
最初こそみんなでブーブーとヌナに文句は言っていたけれど、同じホテルに泊まれる嬉しさからか
すぐにみんな上機嫌になった。
…みんな単純すぎだよ。
急遽ヌナのために予約した部屋。
マネヒョンとチャニヒョンから案内役を頼まれたのは僕だった。
僕の後ろをちょこちょことついてくるヌナ。
初めてスウィートルームに泊まるってはしゃいでたのは数分前。
今じゃ興奮を抑えられない子供のよう。
大きな瞳をキラキラさせながら、僕に微笑む。
そっか、って僕が答えると、
ぷくっと頬を膨らませた。
笑う僕の胸をパシパシと叩いて、
笑うなって怒るヌナ。
さて。
バスルームでふざけるとどうなるか?
答えはこう。
咄嗟についた手はシャワーの取手。
キュッと回って見事に2人に水がかぶる。
ざぁぁ…
出てくる水、いやお湯からヌナを守ろうとしたけれど、2人ともびしゃびしゃで、
焦りすぎてやっとの思いでシャワーを止める。
謝りたくて振り返ると、
それを後悔する光景が広がっていた。
へら、と笑ったヌナの姿は、
水の重みで下がった襟が胸元を広げていて、
黒いレースの下着が露わになっていた。
咄嗟に目をそらしたけれど、
脳裏に焼きつくその姿に胸が熱くなる。
傷つけたのだろうか
目を逸らしたことが間違いだったのか
でも、違うと否定をすると、
それもまたおかしくはないだろうか?
頭の中でぐるぐると思考を巡らせるけれど、いい答えは出ない。
僕のそばから離れようとする音が聞こえて、咄嗟にヌナの腕を掴んだ。
じっと見つめるヌナの目は、
少し潤んでいるように見えた。
ポタポタと水が滴り落ちて、
僕らの足元に水溜りができていく。
これ以上言っていいのかな?
いや、
「いま言ったらおしまい」
そんなことはわかってる。
それに、
告白をするより前に、しっかり今日思った事伝えとかなきゃ。
じゃなきゃ意識さえしてもらえない気がするから。
ヌナの濡れた唇に目を落とす。
ずっとモヤモヤとしていた気持ちが
ぶわっと湧き起こる。
ちゅ、
ヌナの濡れた唇にキスをする。
僕の熱は伝わるだろうか。
唇を離すと、
耳も首も赤く染めたヌナが僕を驚いた顔で見ていた。
頬を染めて両手で口元を隠すヌナを横目に、バスタオルを取る。
ふわりとヌナにかけて、
ぎゅっとその上から抱きしめる。
そっとおでこにキスをしたあと、
軽くフェイスタオルで自分の濡れた服や髪を拭いて、ヌナの部屋から出た。
じっとりと濡れた服。
口から心臓が出そうなほどバクバクと心音が鳴り響く。
やってしまった。
もう後戻りはできない。
ぎゅっと拳を握りしめて、
自分の部屋へ足を早めた。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。