I.N side
バタン…
ヌナの部屋から出てくるスンミニヒョン。
少し遠くからその姿を見ていた。
どことなくいつもと違う雰囲気で、
夕飯前にヌナを見に行こうとしていた足を止めた。
呼び止める?
どうしよう。
そんなことを考えている間に、スンミニヒョンはエレベーターに乗って自室へ戻って行った。
少しモヤついた気持ちを胸に、
そっと足を進める。
ぴたりと止まったヌナの部屋の前。
ドキドキとうるさい心臓をぎゅっと抑え、
コンコンとノックをするとすぐに扉が開いた。
びっしょりと肌が透けるほど濡れた服や、頬に張り付いた髪の毛を見て、思わず声をあげる。
そんなことある!?
いくら冬じゃないからって、そんなんじゃ風邪をひいてしまう。
そう伝えると、俯いてぽそりと声を出した。
ハッとした。
そうじゃん、ないじゃん。
ヌナ達着替えないじゃん。
そう言うと、少し恥ずかしそうで気まずそうな顔のヌナが頷いた。
ヌナの部屋を出て、急いでグルチャにメッセージを入れる。
何やってるんだ僕らは。
ヌナを好きなだけで突っ走って、
困らせちゃダメじゃないか…
その一心でメッセージを打つ。
シャワーをかぶってしまったヌナの着替えについて話すと、ものの数秒でメッセージが届く。
ピコンピコンと鳴るカトク。
我先にとたくさんのメッセージが届くけど、
「僕がもう渡しに来てます」と皆んなを止めた。
ギィ…と鳴る部屋のドアを開けると、
すっかり髪を乾かしたヌナが、バスローブを着て僕を待っていた。
にこりと微笑むヌナを見て、
胸がドクンと高鳴ると同時に、密室で好きな人がバスローブを着ていることに今更実感する。
あたふたとする僕を見て、
ヌナは小さく笑った。
ギュッと胸に抱いた服は、
ヌナにはオーバーサイズの服達。
ドキリと心臓が鳴ると同時に、
思わず顔が赤くなる。
そう言うと思ったから。
カッと赤くなるヌナに微笑むと、
深々とお辞儀をして足早に洗面所へ向かおうと走り出した。
丁度僕の横をすり抜けようとした時に、スリッパが抜けてしまって倒れそうになった。
咄嗟に抱き抱えるようにヌナを掴む。
そして、ヌナが振り向くと同時に
唇が触れた。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。