『っ…!あ、あの…!』
ここでなにもないまま終わるのは勿体ない…
そう思ったら勝手に口と体が動いていた。
「?どうしましたか??…あ!」
私が持ってた袋を見て気付いたんだろう。
大好きな人は私の方を見てにっこり笑ってくれた。
『っ………///』
目の前に大好きな人…推しがいる。それだけでもやばいのに、こんな笑いかけられたらほんとに心臓が…
「もしかして、俺のファン?」
『っ、はい!!6年くらい前からずっと推してて…ほんとに、大ファンで…』
「そんなに前から?うわー!めっちゃ嬉しい!」
『あの…今日ちょうど今日、ポップアップストアで皇輝くんのグッズ全部買ってきたんです…』
緊張で心臓がうるさい。どんどん語尾が小さくなっていく。それでも、笑顔で喜んでくれる。
「え!?全部!?すご!めっちゃ嬉しい!ほんとにありがとう!」
『っ……皇輝くんに会えてこんなに話せるの夢、みたいです……//』
「ふふ、俺もこんなに応援してくるファンに会えて夢見たいだよ?」
『っ〜〜〜////』
私、今日で人生一生分の運使い果たしたかもしれない……
『あ、あの、握手してもらっても、いいですか、?』
「うん!いいよ!喜んで!」
そう言って、優しく手を握ってくれた。
ほんとに嬉しすぎて…私この手だけは一生守る…
「あ、そろそろ時間だから、行くね!」
『はい!!プライベートな時間にありがとうございました!これからもずっと応援しています!』
「いいえ〜!これからも少年忍者をよろしくね!」
『はいっ!』
別れたあと私はどういうふうにして家に帰ったのか覚えていない。
気づいたら家にいて、気づいたら自分の部屋でへたりこんで嬉しさのあまり少し泣いていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。