第25話

第二章 第十八話『星の静寂、心の兆し』
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2025/05/18 13:18 更新
面の異変が収まった――表向きには、そう見えた。

幻想郷は、季節の巡りとともに、いつも通りの穏やかさを取り戻していた。
博麗神社には、今日も何人かの顔ぶれが集まり、ゆるやかに、どこか懐かしい風が吹いていた。

「ふぅーっ、今日もいい天気じゃん!」
ミオが神社の縁側に腰掛け、空を見上げる。

「こんな日はお茶に限るわね」
霊夢が湯飲みを差し出しながら、小さく笑った。

「……あのさ」
こいしが、ぽつりと口を開く。

「ほんとに、終わったのかな。あの“異変”」

「終わった、というより……幕を閉じただけ、って感じがする」
フブキが耳をそばだてながら、静かに答える。

「まだ……聞こえるんだよね。小さな、仮面たちの“声”が」

「私は、時折“星”のざわめきを感じることがあるよ」
すいせいはゆっくりとした口調で言った。「まるで、呼ばれてるような……そんな感じ」

そのときだった。

――「やっぱり、気付いてたのね。さすがよ」

境内に、紫の隙間が開き、八雲紫が優雅に現れる。

「また何か来るの?」
魔理沙が肩をすくめた。

「来る、というより……“来ている”のよ。星の歌姫が目覚めたことでね」

紫の瞳がすいせいに向けられる。

「あなたが“仮面の核”に触れた瞬間、異変の残響は静かに、でも確かに目を覚ました。次に待っているのは、面ではなく――\*\*“面が映した心”\*\*なの」

霊夢が眉をひそめた。

「つまり、また異変ってことじゃない」

「ううん、異変とは少し違う。もっと深くて、個人的なもの」
幽々子がふわりと現れ、後ろから囁く。「魂に触れたものは、簡単には消えないのよ」

「じゃあ、どうすれば?」
ミオが問いかける。

「まずは、“向き合うこと”。あなたたちの中に残る記憶に」
紫の声はいつになく真剣だった。

「星街すいせい。あなたの中に眠る“仮面たちの残滓”。それは他でもない、“過去に傷ついた幻想郷の想念”なの」

静寂が流れた。

すいせいは、そっと目を閉じる。

「わたしは……その記憶に、触れてみたい。もしそこに、まだ“救える心”があるなら」

「わたしも、行くよ。すいちゃん一人に背負わせたくない」
フブキが手を取った。

「影も、感情も、一緒にね」
ミオもまた、微笑んで手を重ねた。

こころが小さく頷いた。

「わたしも……一緒に。今度は、ちゃんと役に立ちたいから」

そしてこいしが、照れくさそうに頬を掻く。

「みんなが行くなら、わたしもついて行くよー。ちょっとは“お姉ちゃん”らしくしてみようかな」

紫は、満足そうに目を細める。

「では、次に向かうは――**記憶の裏庭**。摩多羅隠岐奈が閉ざした、“心の試練の回廊”」

「うわー、また難しそうな名前が出たなぁ……」
魔理沙がため息をつく。

「それだけ、深いってことよ。星の光じゃ、届かない闇もあるわ」
紫が最後に残したその言葉が、みんなの胸に深く染み渡った。

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数日後:幻想郷各地

すいせい、フブキ、ミオ、こころ、こいしは、それぞれの鍛錬を続けていた。

博麗神社の裏庭では、連携スペルの調整が行われている。

「じゃあ、いくよっ!」
ミオの影がうねり、フブキの雪と融合して“冥夜の桂花”が放たれる。

「続けて、“暗雪妖魔術”っ!」
こころが感情の面を掲げ、仮面が浮かび上がり、時空を震わせる。

「じゃあ、わたしの番かな……“氷闇螺旋”っ!!」
すいせいの星の力と合わさった氷と影が、幻想郷の空に夜のような美しさを描く。

その様子を、紫や幽々子、霊夢たちが温かく見守っていた。

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境内の灯篭が揺れる中、フブキたちは焚き火を囲んでいた。

「……それでね、面の記憶って、単なる力じゃないんだと思う」
すいせいが静かに語る。「悲しみや怒りや、どうしようもない孤独……そういうのが、仮面になって現れてたんだって」

「じゃあ、それを……どうすれば?」
ミオが問う。

「認めてあげること。拒絶せずに、手を伸ばすこと」
フブキがそっと目を閉じる。

「心の声を、ちゃんと聞くことだね。感応して、繋がる」
こいしの言葉に、皆が小さく頷いた。

やがて、すいせいが星空を見上げながら、微笑む。

「わたし、あの星の向こうで誰かが泣いてるような気がするんだ。でも、今はもう……怖くないよ」

――心が静かに繋がる。
新たな戦いが始まる、その前に。

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