長時間の全力は無理 ↑
ズキズキと痛む右目を手で押えて、何とか笑う
諸泉さんが上を指さすと、
私とタエ子さんはほぼ同時に顔を上げた
もう一度右目に力を入れると、
山本さんの “ 色 ” がぼんやりと透けて視えた
なんと山本さんは、木の幹と同化していたのである
物申すべきものがそれかは悩む
確かにおトイレは大事だけれども
このままウダウダしていたら日が暮れてしまう
私たちだってご飯を作らなくちゃいけないし…
無言で頷くタエ子さんを見て、私はニッと笑う
タエ子さんをお姫様抱っこをして、
山本さんが同化している木の幹まで飛んだ
遠くで何か言っているのを聞こえないフリをして
タエ子さんを今にも折れそうな枝に立たせる
私はその上の枝に掴まってる
そう言って、木の幹と同化するための布(?)を
全力で掴んで剥ぎ取った
山本さんから奪った布(?)を持って、
タエ子さんを置いて木から飛び降りる
そう言うタエ子さんの声が聞こえたかと思ったら
木からミシミシという音が響いた
タエ子さんは気づかない
自身が立っている木の枝が、
一秒後にはもう折れることを
タエ子さんが落ちると同時に、
私の腹部に強い衝撃が与えられた
なんと、雑渡さんが私にタックルをして
一緒に物陰に隠れたのだ
結構強烈なタックルだった
これ骨折れてないよね
タエ子さんの声が聞こえたので、
私たちは一瞬で静かに集中をし始めた
山本さんはしゃがんだまま、
タエ子さんを抱きしめていた
そう思いながら眺めていると、
私と一緒に眺めていた雑渡さんが目を塞いできた
目を隠されたままそう嫌味を言いながら、
2人の会話に耳を澄ませた
必死にタエ子さんは話しかけているけれど、
山本さんは何も言わない
その時、雑渡さんが指笛を吹いた
低木の影に隠れていたはずなのに
何故か見つかってしまった
忍者って怖い
※色事 ( 簡単に言えば性の交わり )↑ 息子いる













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!