第12話

国か、愛か
139
2026/02/22 05:00 更新
    15年前、父の部屋で見つけた古い日記

   そこには、震える文字でこう書かれていた

 『愛する人を守ることは、
     時に国を裏切ることと同義だ
        だがあなた、それでも私は、
           お前が笑える未来を選びたい』

    パパ、その選択がどれほど苦しいものか

      今の私には痛いほどわかるよ
崩落を始めた総理官邸地下

狂気に駆られた「零」が握りしめているのは、

日本中のインフラを物理的に破壊する終末プログラム

『零式』の起爆装置だった
櫻井零
……顔認証が消えたところで、この国そのものが消えれば同じことだ……!
目黒蓮
……させない
目黒が、傷ついた体で零の腕を掴み、

そのまま瓦礫の奥へと押し込む
(なまえ)
あなた
めめ……!戻ってきて!
目黒蓮
……ごめん、あなた
目黒蓮
俺、こういう時だけは要領よく逃げらんねぇんだ……みっちー、文哉!あなたを頼む
道枝駿佑
蓮くん!嫌ですよ、そんなの!
高橋文哉
……蓮さん、あんた本当にバカだ……生きて帰ってこなかったら、一生動画のネタにしてやるからな!
文哉が声を荒らげるが、目黒は振り返らずに零と共に、

崩れ落ちる天井の向こう側へと消えていった

地上へ続く脱出路

あなたの前に、大森元貴が立ちふさがる

その手には、先ほど奪還したチップが握られていた
大森元貴
……あなた、選ぶんだ
(なまえ)
あなた
……え?
大森元貴
このチップを、今すぐこのメインサーバーに差し込めば、目黒くんが止めている『零式』を完全に無効化できる
大森元貴
……国は、救われる
(なまえ)
あなた
……だったら、早く!
大森元貴
……でも、それをすれば、この地下区画は完全にロックされる
大森元貴
……目黒くんは、二度と外には出られない
あなたの心臓が、大きく跳ねた

国を救えば、愛する人が死ぬ

愛する人を救うために扉を開け続ければ、

プログラムが発動し、国が滅びる
大森元貴
ᴡɪʟʟ ʏᴏᴜ ꜱᴀᴠᴇ ʏᴏᴜʀ ᴄᴏᴜɴᴛʀʏ ᴏʀ ʏᴏᴜʀ ʟᴏᴠᴇ?
大森の声が、冷酷なまでに美しく響いた
(なまえ)
あなた
……そんなの、選べるわけないよ……!
木村拓哉
……あなた、選べ
木村拓哉
……それが、お前が『XENOX』を継ぐということだ
木村が、苦渋に満ちた表情であなたを見つめる

モニター越しに、二宮和也もまた、

無言であなたの決断を待っていた
二宮和也
……俺なら、愛を取るけどね
二宮和也
……でも、お前は快彦の娘だ
大森元貴
……あなた
大森元貴
僕は、君がどちらを選んでも、君を愛してるよ……血が繋がっていようがいまいが、僕の初恋は、君だったんだから
大森が、悲しい嘘を隠したような笑顔を見せる

あなたの指が、チップの上で激しく震える
(なまえ)
あなた
(パパ……めめ……。私は……私は……!)
轟音と共に、扉が閉まる音
(なまえ)
あなた
……あ
あなたの手からチップが消えていた

奪い取ったのは、大森元貴だった
大森元貴
……ごめんね、あなた
大森元貴
……君に、こんな重い十字架を背負わせたくないんだ
大森はチップをサーバーに叩き込むと、

自らロックされた扉の向こう側へ、

目黒を助けに飛び込んだ
(なまえ)
あなた
お兄ちゃん!?ダメ! 戻ってきて!
大森元貴
……さらばだ、僕の光
大森元貴
……あの日、屋上で見た富士山
大森元貴
……あれよりも、今の君の方が、ずっと綺麗だよ
扉が完全に閉鎖された

あなたは、冷たい鋼鉄の扉を叩き、泣き叫んだ
(なまえ)
あなた
お兄ちゃーーん!!めめーー!!
静まり返る地下通路に、

あなたの叫び声だけが虚しく響く

高橋文哉が、そっとあなたの肩に手を置いた
高橋文哉
……終わったよ
高橋文哉
……プログラムは、止まった
国は救われた

けれど、あなたの「愛」は、

暗闇の向こう側へ消えてしまった
[ 次回予告 ]

「……生きてるって、信じてるから」

一年の月日が流れ、世界は変わった

インフルエンサー「アメリア」が最後に見た真実

最終回、第12話『XENOX』──愛は、永遠に
作者です!昨日出すの忘れちゃったので、
今出しました!
本日最終回!20時にまた会いましょう!

プリ小説オーディオドラマ