「ちょっとあの、どういうことですか」
「一応最初にも言ったさ、支配下にいてねって」
「いやそういうことだとは思わないじゃないですか!!」
確かに言われた。言われたけれど。
監禁されるなんて聞いていないし、それを事前に危惧できるような危機感を私は持ち合わせていなかった。
「でもでも、完全に出られないわけじゃないよ!自由に外出できないってだけで。許可制になるかなぁ。……あっ、もちろん許可出すのはドス君ね!!」
どことなく楽しそうな口振りで言うゴーゴリ。
許可制、と言っているが、はたしてその許可というのはどんな理由だと貰えるのか。
先程『基本』家から出られないと言っていたが、その『基本』って、何?
確かに考えてみれば、私がいつ情報をばら撒くか分からないし、私の自由を一切封じるというのは理にかなった話ではある。
異能力を使って悪巧みをするやつらが人権なぞ気にするとは到底思えないし。
この、ドストエフスキーという掴みどころのない人物が私にどれだけ慈悲をくれるのか、検討もつかない。
「あの」
「とりあえず、しばらく部屋でゆっくりしていてください。部屋の中でなら何をしていただいても構いませんから」
もうちょっと詳しく教えてください、と聞こうとしたところに、意識してなのかは分からないがドストエフスキーが被せてきた。
口を開こうとすると、次はお手洗いはあちらです、とか、そのまた次には早く入ってください、と催促をしてきたのでおそらくわざとだ。
聞いたところで何かが変わるわけでもないので、私は諦めて部屋に入ることにした。早く内装をちゃんと見たいという本音も、正直ある。
「えっと、じゃあ……。私は何かすることないんですか?」
「ええ、今は特に」
馬車馬のように働かされるということもあるかもしれないと少々身構えていたが、それはないようでほっとした。
「分かりました、では、部屋お借りし……」
「あっ!!こんな時間!!あなたちゃん、私は仕事があるから一旦帰るけど、また会いに来てあげるね!!!」
「え、いや、あの」
この二人は私の話に被せることがよほど好きなのか、ゴーゴリも私が喋っている途中であるのにも関わらず、唐突にそう言った。
会いに来てもらわなくても結構なのだが、それを言う前にゴーゴリはまたね、と言いながらマントを広げたと思ったら、
くるりとマントに包まれて、消えていった。
「えっえっ、なんですかあれ!!」
「ゴーゴリさんの異能力です」
そりゃあ異能力だろうけど。
言動も異能力も、彼を形成するすべてのものが理解し難い、と思った。
そもそもあんな異能力を持っているのなら、ここに来るときも使ったらよかったのではないか。発動条件などもあるだろうから、一概には言えないけれど。
「……あの、早く入ってくれませんか?ぼくも暇じゃないので」
「あっ、ご、ごめんなさい」
考えていると、再び催促された。
さっき入ろうとしたんですよ、でもゴーゴリさんが邪魔するから、とか、言い訳したくなった。
でも、そんなことを言う勇気なんてなかったので私は大人しく部屋に入っていった。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。