第4話

近づくほど、揺れる
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2025/12/16 09:58 更新
最近、あなたの下の名前は自分でもわかるくらいに笑うことが増えていた。

放課後、体育館の扉を開けると、
深澤辰哉
お、あなたの下の名前きた!
宮舘涼太
今日も早いな
そんな声が当たり前のように飛んでくる。

その“当たり前”が、嬉しかった。
岩本照
あなたの下の名前、今日タイマーお願い
岩本くんがそう言って指差す。
あなた
了解です
返事をすると、自然と身体が動く。
もう説明はいらない。
自分がこの場所の“一部”になれている気がしていた。
練習はいつも以上に厳しかった。
何度も音を止めて、立ち位置を確認して、動きを揃える。
岩本照
違う、そこ一瞬遅れてる
岩本照
もう1回
空気が張り詰める。

あなたの下の名前は壁際で静かに見守りながら、胸の奥が少しだけ苦しくなるのを感じていた。
――この人たちは、本気だ。
遊びじゃなくて、夢を賭けてる。
岩本照
休憩、
岩本くんの声で、ようやく空気が緩んだ。
佐久間大介
はぁ〜! 無理無理無理!
佐久間くんが床に寝転び、
ラウール
でも今の揃い方、やばかったよね
ラウールくんが笑う。

そんなやりとりを見て、あなたの下の名前は思う。
この人たちは、強い。
ぶつかっても、離れない。

――じゃあ私は?

ふと浮かんだ疑問を、慌てて振り払った。
休憩中。
あなたの下の名前がペットボトルを配っていると、渡辺くんがじっとこちらを見ていた。
あなた
...なんかついてる?
そう聞くと
渡辺翔太
いや
短く返ってくる
渡辺翔太
最近、静かだなって思って
あなた
え、そうですか?
渡辺翔太
前はもっと、無理して喋ってた
胸が、きゅっと縮んだ。
あなた
……無理は、してないです
そう答えたけれど、自分でもよくわからなかった。

渡辺くんはそれ以上何も言わず、ペットボトルの蓋を開ける。
その沈黙が、やけに重かった。
その日の帰り道。
夕焼けが校舎を赤く染めていた。
向井康二
あなたの下の名前、一緒に帰ろ
声をかけてきたのは向井くんだった。
向井康二
最近さ、楽しそうやけど……ちゃんと休んでる?
 何気ないトーン。でも、優しい。
あなた
大丈夫です。全然平気で――
そう言いかけて、言葉が止まった。

平気、って何だろう。
笑えていれば?
ここに来られていれば?

答えが出ないまま、あなたの下の名前は視線を落とす。
向井康二
...無理せんでええんやで
向井くんはそれ以上踏み込まず、そう言った。

その“踏み込まなさ”が、逆に胸に刺さる。
家に帰って、ベッドに倒れ込む。
スマホには、誰からも連絡は来ていない。

――ここに来る前の私は、どうやって笑ってたっけ。

Snow Manといる時間は楽しい。
でも、ふとした瞬間、置いていかれそうになる。

この人たちの夢の中に、
あなたの下の名前の居場所は、本当にあるのだろうか。

体育館で聞いた音楽が、まだ耳の奥に残っている。
なのに、心は少しだけ冷えていた。

――近づくほど、怖くなる。

失うかもしれないと思うほど、
大切になっている証拠なのに。

あなたの下の名前は胸の前で手を握りしめた。

助けて、なんて。
そんな言葉、まだ言えなかった。

誰に言えばいいのかも、わからないまま。

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