昇降口へ移動しながら、
私はふたりの手を握った。
彼女の仕業じゃないと
信じきれない自分も嫌だった。
***
ようやく昇降口にたどり着くと、
私たちは ロッカーから武器になりそうな
掃除道具を取り出すことにした。
優くんが使えそうな掃除道具を
光くんに渡そうとしたとき──。
私は光くんに腕を引かれて、走る。
真逆の方向に逃げてしまったせいで、
優くんと分断されてしまった。
自分に言い聞かせながら、
ふたりで逃げ込んだのは図書室だった。
私たちはいちばん奥の本棚の裏に
しゃがみ込み、隠れる。
そこで、私たちがまだ手を繋いだ
ままなことに気がついた。
こんなときなのに
幸せな思い出が頭をよぎって、
私はくすりと笑ってしまう。
そう言って笑うと、
光くんはじっと私を見つめて……。
嬉しくて、
なぜだか泣きそうになった。
そう思ったら前より死ぬことが怖くなって、
震えていると……。
光くんが、
きつく私を腕の中に閉じ込める。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。