第2話

第2話 好き好き大作戦
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2019/10/26 04:09 更新
お嬢様と執事の関係になって離れてしまった蒼真との距離を、どうにか縮めたい私が思い付いたのは

その名も【好き好き大作戦】!


ありったけの気持ちを蒼真に包み隠さず伝える!ただ、それだけのいたってシンプルな作戦だ。


バカな私が考えそうなことだよね。

なんて自分で自分の考えた作戦に苦笑しながらも、今はこの作戦にかけるしかない。


とは言っても、幼なじみだった頃から今日まで、蒼真に自分の気持ちを伝えたことなんてないし。

「好き」なんて言ったら、蒼真どんな顔するんだろうって、ほんの少しだけ怖かったりする。
雪平蒼真
雪平蒼真
……?
おはようございます、お嬢様
西園寺秋華
西園寺秋華
っ……!
雪平蒼真
雪平蒼真
どうしたんですか?
こんなところで百面相して
西園寺秋華
西園寺秋華
え?……いや、別に
雪平蒼真
雪平蒼真
……?
急ぎましょう、遅刻します
西園寺秋華
西園寺秋華
え……?
うわ、もうこんな時間!?
雪平蒼真
雪平蒼真
エントランスで待っていたのですが
全然いらっしゃらないので
勝手ながらお迎えにあがりました
時計を見れば、いつもならとっくに学校に着いている時間で。

時間も忘れて蒼真のことを考えていた自分が恥ずかしくなってくる。


……執事だからって理由だとしても、こうして私のことを待っててくれて、迎えに来てくれる蒼真にまた勝手にキュンとしてしまう。
西園寺秋華
西園寺秋華
ご、ごめんね……!
ちょっと考え事してて
雪平蒼真
雪平蒼真
考え事……何か悩みでも?
何かあれば私に仰ってください
お嬢様の悩みは私の悩みですから
西園寺秋華
西園寺秋華
……ありがとう
悩みってわけじゃなくて!
あ、でも朝が苦手すぎて悩んでるかな
執事の家系に生まれて、小さい頃から執事になるための英才教育を受けてきた蒼真。

思った以上に板についている執事っぷりに、私はいつも驚かされるばかり。


ずっと一緒に育ってきたのに、執事としての蒼真はこうして専属執事になって初めて知った。

私が知っている本当の蒼真は、もっと柔らかい話し方をして、喜怒哀楽がハッキリしてて。

たまに、私をからかって……楽しそうに笑ったりもする。
雪平蒼真
雪平蒼真
……ふっ
本当、昔から朝だけは苦手ですよね
おかげで俺も何度
遅刻させられそうになったことか
……そう。こんな風に。


って、え!?
今、蒼真『俺』って言わなかった!?
西園寺秋華
西園寺秋華
そ、蒼真!今……!
雪平蒼真
雪平蒼真
コホンッ……さぁ、お嬢様
時間がないので急ぎましょう
一瞬、本当に一瞬だけど。
幼なじみの蒼真が垣間見れた気がして、嬉しくて仕方ない。

私との記憶を懐かしそうに語った蒼真の、柔らかくて優しい顔が頭から離れない。
西園寺秋華
西園寺秋華
……好き!
蒼真が大好き!
私より先に歩き出す背中に、思わず溢れた気持ち。言ってしまってから、ハッとして。

ありえないくらいドキドキしてる。

でも、これでいいんだ。
【好き好き大作戦】決行中なんだから。


振り返った蒼真は、見間違い?ってくらい、本当にほんの一瞬だけ驚いた顔をしたように見えた。

だけど───。
雪平蒼真
雪平蒼真
ありがとうございます
お嬢様のお気持ち、光栄です
西園寺秋華
西園寺秋華
……!?
ニコニコと執事スマイル全開の蒼真に、まんまとスルーされるオチ。

渾身の告白だったのに。
こんなにも「好き」なのに。

うちの執事、少しばかりスルースキルが高すぎません?普通、女の子からの「好き」をこんな笑顔でスルーできるもん!?


もう、こうなったら……これから全力でアタックするんだから!


覚悟してよね!

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