お嬢様と執事の関係になって離れてしまった蒼真との距離を、どうにか縮めたい私が思い付いたのは
その名も【好き好き大作戦】!
ありったけの気持ちを蒼真に包み隠さず伝える!ただ、それだけのいたってシンプルな作戦だ。
バカな私が考えそうなことだよね。
なんて自分で自分の考えた作戦に苦笑しながらも、今はこの作戦にかけるしかない。
とは言っても、幼なじみだった頃から今日まで、蒼真に自分の気持ちを伝えたことなんてないし。
「好き」なんて言ったら、蒼真どんな顔するんだろうって、ほんの少しだけ怖かったりする。
時計を見れば、いつもならとっくに学校に着いている時間で。
時間も忘れて蒼真のことを考えていた自分が恥ずかしくなってくる。
……執事だからって理由だとしても、こうして私のことを待っててくれて、迎えに来てくれる蒼真にまた勝手にキュンとしてしまう。
執事の家系に生まれて、小さい頃から執事になるための英才教育を受けてきた蒼真。
思った以上に板についている執事っぷりに、私はいつも驚かされるばかり。
ずっと一緒に育ってきたのに、執事としての蒼真はこうして専属執事になって初めて知った。
私が知っている本当の蒼真は、もっと柔らかい話し方をして、喜怒哀楽がハッキリしてて。
たまに、私をからかって……楽しそうに笑ったりもする。
……そう。こんな風に。
って、え!?
今、蒼真『俺』って言わなかった!?
一瞬、本当に一瞬だけど。
幼なじみの蒼真が垣間見れた気がして、嬉しくて仕方ない。
私との記憶を懐かしそうに語った蒼真の、柔らかくて優しい顔が頭から離れない。
私より先に歩き出す背中に、思わず溢れた気持ち。言ってしまってから、ハッとして。
ありえないくらいドキドキしてる。
でも、これでいいんだ。
【好き好き大作戦】決行中なんだから。
振り返った蒼真は、見間違い?ってくらい、本当にほんの一瞬だけ驚いた顔をしたように見えた。
だけど───。
ニコニコと執事スマイル全開の蒼真に、まんまとスルーされるオチ。
渾身の告白だったのに。
こんなにも「好き」なのに。
うちの執事、少しばかりスルースキルが高すぎません?普通、女の子からの「好き」をこんな笑顔でスルーできるもん!?
もう、こうなったら……これから全力でアタックするんだから!
覚悟してよね!















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!