……おかしい。
私が求めている展開が全く訪れない。
【好き好き大作戦】を実行して早数日。
毎日のように気持ちを伝える私を、これでもかってくらい適当にあしらう蒼真。
この作戦を実行する前は、蒼真だって私のこと少なからず気になってるんじゃ……なんて、思っていたのに。
そんなことを思っていた自分を恥ずかしく思うくらい、それはもう、キレイさっぱりアウトオブ眼中だってことを思い知らされた。
丁寧に対応している風を装って、今だって実は私の顔をほぼ見ずに、手元のティーカップへと紅茶を注いでいる。
くぅ!その横顔すら最高にかっこいいんだから、もう罪深いよ。
〜体育の授業中〜
───ピッ!!ピピピッ!!
無駄にホイッスルを鳴らしたい先生。
コートを端から端まで駆け抜ける生徒。
蒸し蒸しと湿度が高くて暑い体育館。
隣のコートで風のように走る蒼真……。
今は体育の授業中。
男子コートで活躍する蒼真を横目で追いながら、かっこいいな〜なんてニヤける。
───バタッ
〜保健室〜
次に目を覚ました時、見えたのは白い天井。
ほのかに香る消毒液の匂いに、ここがすぐに保健室だって分かった。
体を起こそうとした私は、頭にズキズキと痛みが走って思わず顔をしかめる。
蒼真がいる安心感から、ついヘラヘラと笑ってしまう。そんな私に、蒼真はいつになく怖い顔をする。
そんなに怒らないで?
そう続けようと口を開いた私の言葉を、先に口を開いた蒼真が遮った。
言い終える間際、私の頭をポンポンと優しく撫でる蒼真の手にドキドキして。
胸がキュッと軋む音がした。
スルースキルが高すぎる上に、加えてときめきスキルまで兼ね備えられちゃ……。
私はもうお手上げです。
















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。