第3話

第3話 私、めげません
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2019/11/02 04:09 更新
西園寺秋華
西園寺秋華
今日もかっこいいね、蒼真くん
雪平蒼真
雪平蒼真
恐縮です
西園寺秋華
西園寺秋華
執事の蒼真は本当に真面目だよね
雪平蒼真
雪平蒼真
真面目……ですか
執事にとって1番の褒め言葉です
ありがとうございます
西園寺秋華
西園寺秋華
そんなところも好き
控えめに言って大好き
雪平蒼真
雪平蒼真
お気に召していただけて何よりです
もっと精進いたしますね
……おかしい。
私が求めている展開が全く訪れない。


【好き好き大作戦】を実行して早数日。

毎日のように気持ちを伝える私を、これでもかってくらい適当にあしらう蒼真。


この作戦を実行する前は、蒼真だって私のこと少なからず気になってるんじゃ……なんて、思っていたのに。

そんなことを思っていた自分を恥ずかしく思うくらい、それはもう、キレイさっぱりアウトオブ眼中だってことを思い知らされた。


丁寧に対応している風を装って、今だって実は私の顔をほぼ見ずに、手元のティーカップへと紅茶を注いでいる。

くぅ!その横顔すら最高にかっこいいんだから、もう罪深いよ。

〜体育の授業中〜


───ピッ!!ピピピッ!!


無駄にホイッスルを鳴らしたい先生。

コートを端から端まで駆け抜ける生徒。

蒸し蒸しと湿度が高くて暑い体育館。

隣のコートで風のように走る蒼真……。


今は体育の授業中。
男子コートで活躍する蒼真を横目で追いながら、かっこいいな〜なんてニヤける。
クラスメイト
クラスメイト
秋華〜!パス!!
西園寺秋華
西園寺秋華
(よし、攻めろ攻めろ〜!)
西園寺秋華
西園寺秋華
(そのままいっきに……!)
西園寺秋華
西園寺秋華
(シュートォ〜!!)
西園寺秋華
西園寺秋華
やった!決まった!!
クラスメイト
クラスメイト
ちょ、秋華っ!!!
ボール!!前前前前!!
西園寺秋華
西園寺秋華
……へ?っ、わぁ!!
───バタッ
クラスメイト
クラスメイト
うわ、ちょっと秋華!!
大丈夫!?しっかりして……?



〜保健室〜
西園寺秋華
西園寺秋華
っ、いてて……
次に目を覚ました時、見えたのは白い天井。
ほのかに香る消毒液の匂いに、ここがすぐに保健室だって分かった。


体を起こそうとした私は、頭にズキズキと痛みが走って思わず顔をしかめる。
雪平蒼真
雪平蒼真
まだ横になっていて下さい
西園寺秋華
西園寺秋華
っ、そ……蒼真!
雪平蒼真
雪平蒼真
バスケットボールが前頭部に直撃
そのまま意識を失って……
西園寺秋華
西園寺秋華
そっか……もしかして
蒼真が運んでくれたの?
雪平蒼真
雪平蒼真
お嬢様の執事として当然です
雪平蒼真
雪平蒼真
体育の時間くらい
ちゃんとバスケに集中して下さい!
西園寺秋華
西園寺秋華
……ご、ごめん
つい、蒼真のこと応援しちゃって
パス出されたことに気づかなくて
蒼真がいる安心感から、ついヘラヘラと笑ってしまう。そんな私に、蒼真はいつになく怖い顔をする。
雪平蒼真
雪平蒼真
笑い事じゃないです
当たりどころが悪かったら
大変なことになってたんですよ?
西園寺秋華
西園寺秋華
お……怒ってるの?
雪平蒼真
雪平蒼真
当たり前です
……腹が立って仕方ない
西園寺秋華
西園寺秋華
ごめん!私って昔から鈍いし……
本当、もっと気をつけるから
そんなに怒らないで?

そう続けようと口を開いた私の言葉を、先に口を開いた蒼真が遮った。
雪平蒼真
雪平蒼真
腹が立つのは自分にです
同じ空間にいたのに……
お嬢様をお護りできなかった自分に
雪平蒼真
雪平蒼真
……何ともなくてよかった
西園寺秋華
西園寺秋華
〜〜っ
言い終える間際、私の頭をポンポンと優しく撫でる蒼真の手にドキドキして。

胸がキュッと軋む音がした。
西園寺秋華
西園寺秋華
……蒼真、大好き!!!
雪平蒼真
雪平蒼真
……では、
大好きな私の言うことを聞いて
今日はこのまま早退してください
西園寺秋華
西園寺秋華
え……?
雪平蒼真
雪平蒼真
心配で授業には送り出せません
……いいですね?
スルースキルが高すぎる上に、加えてときめきスキルまで兼ね備えられちゃ……。
西園寺秋華
西園寺秋華
……はい
私はもうお手上げです。

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