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第2話

悲しみと後悔

零くんから連絡を受けた日の、二日後。


平日ということもあり、大学に出席するのは諦めて、私は地元へと帰ってきた。


新幹線と高速バスを乗り継いで、片道約三時間。


あれから、想太が亡くなった経緯を零くんに聞いた。


想太が亡くなったのは、四日前の日曜日に私たちの地元の商店街で起こった、爆発事故が原因だった。


その事故は、テレビニュースや新聞、インターネット上でも大きく取り上げられて話題となっていて、どこにいても嫌というほど耳に入ってくる。


――想太はあの日、なぜか地元の商店街に出かけていた。


そこで突如、飲食店でガス爆発が起こり、数人が巻き込まれて死傷したということだった。
永沢 胡桃
永沢 胡桃
(どうして……想太なの?)

命の重さは平等なのだから、他の人ならいい、なんて思ってはいない。


でも、想太でなければならなかった理由も、思いつかない。


楽しかったあの頃の、想太の笑顔を思い出しては、ぐっと涙を堪えた。



***



実家に寄り、喪服に着替えると、葬儀会場へと向かった。


受付を終えて周囲を見渡すと、想太の同級生と思わしき人たちや、当時の塾仲間が悲痛な面持ちで集まる中、私に駆け寄ってくる人影があった。


――零くんだ。


二年経つと、また少し背も伸びて、やや大人っぽくなっているけれど、見慣れた顔に安心感が広がる。
河端 零
河端 零
胡桃、大丈夫か……?

心配をにじませた優しい声でそう言われると、知っている人に会えてほっとする反面、どっと悲しみが込み上げてきた。
永沢 胡桃
永沢 胡桃
まだ、よく……分からない。
気持ちが、ぐちゃぐちゃで……
河端 零
河端 零
……ああ、そうだよな

聞きたいことはたくさんあるのに、言葉が出てこない。


零くんは私を静かな場所に案内し、ソファに座らせてくれた。
河端 零
河端 零
よく帰ってきてくれた
永沢 胡桃
永沢 胡桃
……うん

私が落ち着くまでしばらく待ってから、零くんが口を開いた。
河端 零
河端 零
想太の体、なんだけどな。
爆発に巻き込まれて損傷が激しかったから、もう火葬されたって
永沢 胡桃
永沢 胡桃
……じゃあ、もう顔を直接見られないってこと?
河端 零
河端 零
うん。
代わりにお骨が置かれてる

想太が亡くなったのは、何の予兆もない、不慮の事故だった。


遺体の損傷が酷い時、腐敗を避けるために、こうして早めに火葬されるとのこと。


今回の葬儀は骨葬こつそうといって、祭壇の上にお骨が置かれているらしい。


私は、今でも想太の笑顔や声をはっきりと思い出せる。


振られても、気持ちは想太にあった。


この二年、忘れたことなんかない。
永沢 胡桃
永沢 胡桃
(なのに、もう会えないなんて……)

悲しみと後悔――この二年、彼に会いに来なかった自分を呪いたい気分だ。


再び泣き始める私の背中を、零くんがなぐさめるように撫でてくれた。

【第3話につづく】