零くんから連絡を受けた日の、二日後。
平日ということもあり、大学に出席するのは諦めて、私は地元へと帰ってきた。
新幹線と高速バスを乗り継いで、片道約三時間。
あれから、想太が亡くなった経緯を零くんに聞いた。
想太が亡くなったのは、四日前の日曜日に私たちの地元の商店街で起こった、爆発事故が原因だった。
その事故は、テレビニュースや新聞、インターネット上でも大きく取り上げられて話題となっていて、どこにいても嫌というほど耳に入ってくる。
――想太はあの日、なぜか地元の商店街に出かけていた。
そこで突如、飲食店でガス爆発が起こり、数人が巻き込まれて死傷したということだった。
命の重さは平等なのだから、他の人ならいい、なんて思ってはいない。
でも、想太でなければならなかった理由も、思いつかない。
楽しかったあの頃の、想太の笑顔を思い出しては、ぐっと涙を堪えた。
***
実家に寄り、喪服に着替えると、葬儀会場へと向かった。
受付を終えて周囲を見渡すと、想太の同級生と思わしき人たちや、当時の塾仲間が悲痛な面持ちで集まる中、私に駆け寄ってくる人影があった。
――零くんだ。
二年経つと、また少し背も伸びて、やや大人っぽくなっているけれど、見慣れた顔に安心感が広がる。
心配を滲ませた優しい声でそう言われると、知っている人に会えてほっとする反面、どっと悲しみが込み上げてきた。
聞きたいことはたくさんあるのに、言葉が出てこない。
零くんは私を静かな場所に案内し、ソファに座らせてくれた。
私が落ち着くまでしばらく待ってから、零くんが口を開いた。
想太が亡くなったのは、何の予兆もない、不慮の事故だった。
遺体の損傷が酷い時、腐敗を避けるために、こうして早めに火葬されるとのこと。
今回の葬儀は骨葬といって、祭壇の上にお骨が置かれているらしい。
私は、今でも想太の笑顔や声をはっきりと思い出せる。
振られても、気持ちは想太にあった。
この二年、忘れたことなんかない。
悲しみと後悔――この二年、彼に会いに来なかった自分を呪いたい気分だ。
再び泣き始める私の背中を、零くんが慰めるように撫でてくれた。
【第3話につづく】
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。