放課後の屋上は静かだった
フェンス越しに広がる空はやけに広くて
どこまでも続いているみたいに見える。
「……あ」
扉を開けた瞬間、先に人がいることに気づいた
見たことのない男子
フェンスにもたれて空を見上げている。
一瞬、戻ろうか迷った。
でも——
「来る?」
振り向きもしないままそう言われた。
「…邪魔じゃないなら」
「全然」
短いやり取りのあと、私は少し離れた場所に立った
風の音だけが間を埋める
不思議と気まずくなかった
同じ空を見ているだけなのに、
それだけで成り立つ時間があるんだと初めて知った。
「今日の空、綺麗だな」
彼がぽつりと言う。
「うん、綺麗だね」
それが、蒼との最初の会話だった。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。