今日はダイアゴン横丁へと行く日だ。3年生で使う教科書のリストを持ち、いつものように家の暖炉から煙突飛行をする。ハリーは前に失敗したことがあるみたいで緊張していたが、全員無事に漏れ鍋に到着した。
そんなに心配しなくても、とも思うが、ブラックのことがあるから、ハリーだけは1人にしない方が良いだろう。
よく考えてみたら、私達ももう13歳だ。軽々しく手を繋がない方が良いのかもしれないな、なんて思いながら、薬問屋で魔法薬学の材料を揃える。ここは品揃えは良いのだが、その分色んな匂いが混ざっていて、私はちょっと苦手だ。
身長差はあまり無かったはずなのに、今では少し見上げないと目が合わない。
洋装店に入れば、マダム・マルキンが明るく出迎えてくれて、特にハリーは熱烈に歓迎されていた。そういえば、ハリーと初めて会ったのもここだったな、なんて思い返している内に採寸は終わり、私達はフローリッシュ・アンド・ブロッツ書店へと向かう。
そんな話をしている内に書店に着いたので中に入ると、店主が慌てた様子で近寄ってきた。
店主は何故か分厚い手袋をはめると、書店に似合わない檻の方へと向かっていった。そして、その中にある本に手を伸ばすと、いきなり本が店主に噛み付いた。
店主は悪戦苦闘しながらも、なんとか本を紐でぐるぐる巻きにした。
もう檻に手を突っ込まなくて良いことに安心した店主は、私に本を渡してくれた。
残りの教科書は何の変哲もないただの本のようで、店主が噛み付かれることもなく、全て買い揃えることができたのだった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。