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第3話

日の國へ
44
2023/10/05 15:03
カイ
カイ
2008だったよな。急ごう
御者を待たせては退屈してしまう














~2008番地~
兵士
カイ様!!お待ちしておりました!
カイ
カイ
よく待っていてくれた。では港まで向かってもらえるか?
兵士
はい!!任せてください!
カイ
カイ
かなり馬の扱いが上手くなったんだろう?お手並み拝見と行こうじゃないか。
兵士
カイ様に比べればまだまだですよ!!カイ様の乗馬を見て馬を扱える仕事についたんですから!
カイ
カイ
それは嬉しいな。無理はするんじゃないぞ。
兵士
はい!!わかってますよ!
カイ
カイ
それじゃあ向かってくれ
兵士
はい!!
馬が地面を蹴る音
馬車が揺れる音
木々のざわめき
雨雲の匂い
港に着く頃には雨が降りそうだな。
濡れさせたくはないが…どうすべきか。
カイ
カイ
途中に寄りたいところがあるから、途中で下ろしてもらってもいいか?そこからならすぐ着く方法を知っていてな
兵士
はい!何処ですか?
カイ
カイ
ここから港まで一直線に行く時村があるだろう?そこの村でいいぞ
兵士
わかりました!
これで帰ってから降り出すぐらいだろうか
村からなら最短ルートで馬車と同じぐらいに港につけるだろう
途中に湖があって迂回する他ない馬車と違って、俺の知り合いは湖を突っ切って渡れるしな
そっちのが楽だ






~村~
兵士
つきました!
カイ
カイ
ありがとう。じゃあ帰っていいぞ。これから雨が降りそうだ。その前に帰るんだ
兵士
はい!!わかりました!!ではまた帰りに迎えに来ます!
カイ
カイ
あぁ。頼んだぞ。後…
兵士
はい?
カイ
カイ
馬。ちゃんと扱えてたじゃないか。
兵士
…ありがとうございます!!!!!!!!!
カイ
カイ
さて…
彼女は何処にいるだろうか?
まぁ。酒場だろ
カイ
カイ
失礼。この村に住んでいるタイラという女性をご存じで?
村の住民
えぇ。知ってますよ!タイラさんなら先程酒場に入っていきましたよ
カイ
カイ
ありがとうマダム。
俺は膝をつき彼女の手の甲にキスを落とす
カイ
カイ
それでは。
酒場にいるなら酒を飲んでると思うが…
本当に大丈夫か?
俺が押した酒場のドアは音を立てて開いた
中は騒ぐ人で溢れていてタイラを見つけるのは面倒くさそうだ
…と、思ったが彼女から来てくれた
タイラ
タイラ
どうしたんですかカイさん?こんなとこまで来るなんて
カイ
カイ
港方面まで湖を通りたいんだ。お前の力なら早いだろ?
タイラ
タイラ
今から仕事ですか…全然いいんですけど…
タイラ
タイラ
その分アレには目をつぶってくださいね?
カイ
カイ
あぁ。致し方ないだろう
カイ
カイ
では。頼む
村の外れまで少し歩いた後、彼女は手を湖に当てる
タイラ
タイラ
…ふぅ…
タイラ
タイラ
水よ。我が道の為に開拓せよ。
彼女の周りには水が舞い踊り、湖には水で船が形成されいく
カイ
カイ
いつ見ても素晴らしい。
タイラ
タイラ
はは…これで前国を破滅させかけたんですけどネ
カイ
カイ
俺との契約でもう上位魔法は使えないだろう?
カイ
カイ
それに、魔法が使える存在は稀だ。
君以外に俺は見た事ない
タイラ
タイラ
上位魔法に関しては使ったらカイさんが殴りに来るって言うから使ってないだけですけどね…
タイラ
タイラ
さ、乗りましょ。最高速で行きますよ
カイ
カイ
船酔いしたらすまんな
タイラ
タイラ
大丈夫です。揺れないので
タイラ
タイラ
景色が並行移動してくだけですよ
カイ
カイ
この前それで若干気持ち悪くなったんだが
タイラ
タイラ
あ、あれはカイさんが酒飲んだ後に乗って自分でフラフラしてたせいですよ
カイ
カイ
そうだったか…そうだな
タイラ
タイラ
さて。10分ぐらいですし国の情勢でも聞かせてくださいよ
カイ
カイ
俺の総統の國が1番強い。それ以外は雑魚。だ
タイラ
タイラ
毎度それですよね…毎回聞く私も私ですが。
カイ
カイ
まぁ俺の総統サマは人使いが多少荒いがな
カイ
カイ
それでこそ俺の忠誠を誓った相手だ
タイラ
タイラ
そうですね…
俺は他国の情勢や国の中のスパイの話をタイラに話した
カイ
カイ
ーーーーって言う事があってな。幹部を増やす為に俺が勧誘誘拐に行くんだ
タイラ
タイラ
そうなんですね
タイラ
タイラ
今から港へ行って何処に行くんですか?
カイ
カイ
日の國だ
カイ
カイ
白き復讐鬼の名を、貰い受けに行くとする
タイラ
タイラ
ふむ…ではこれを持っていくと良いと思いますよ
カイ
カイ
これは…なんだ?
タイラ
タイラ
幸運の御霊守みたまもりと言うもので…まぁカイさんの役にたってくれると思いますよ
カイ
カイ
ふむ…ありがとう。大事にするよ
タイラ
タイラ
それを見える所につけておくといいですよ。髪飾りにも出来ますのでやりましょうか?
カイ
カイ
髪飾りだと動きにくくならないか…?
タイラ
タイラ
大丈夫です。落ちないように魔法かけておきますから…
カイ
カイ
じゃあそれで頼む
あぁ。髪を結わえて貰うのは何時ぶりだろうか
誰が結ってくれたのかさえ今は覚えていない
ショートカットにして軍人として生きるようになってからは髪型なんてどうでもよかった。
ただ。このヘアピンだけは外せなくて。
タイラ
タイラ
できましたよ
水面を鏡にして見ると髪の側部に小さな狐と小さいリボンがそえてあった
カイ
カイ
ありがとう。
カイ
カイ
…案外、良い。軍人だし可愛い物はあまり付けずにいたが…
タイラ
タイラ
私はカイさんの髪結わえるの好きですよ。サラサラで気持ちよく手櫛も通りますし。
タイラ
タイラ
元メイドの経歴もありましたし…私はお嬢様の髪を結うのが好きでしたからね
タイラ
タイラ
それのせいもありますよ。
カイ
カイ
そういう物なのか?私には分からないな。
タイラ
タイラ
ま、そろそろ着きますし。帰りは迎えが必要ですか?
カイ
カイ
いらん。別国に寄り道をするつもりなのでな
カイ
カイ
もうじき雨が降る。ここまでありがとう
水の船を乗り越え陸地へと着地する
タイラ
タイラ
はい。では、また今度いらしてください。いつでも待ってます
カイ
カイ
あぁ。それではな。
手を振り離れていく彼女を見ると昔の情景が見えてくる気がして、数分見蕩れていた。
カイ
カイ
…ふぅ…あと少し走るか
俺は、港への道を走り続けた。

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