あの時と同じ光景に、傷付いたような表情で固まっているすちくん。
生徒会室に気まずい沈黙が流れる。
その沈黙を切り裂くようにすちくんが口を開いた。
少し声を荒げてから、また大人しい声で訴えてくるすちくん。
いや、泣きそうな声と言った方が良いかもしれない。
1度目を見開いてまた目線を下に向けた。
なんでだろう。
なんですちくんはそんな複雑な表情をしているのか。
泣きそうな、悲しそうな、でもどこかほっとしているような。
なんとも言えない表情とはつまりこのことだろう。
また気まずい沈黙が流れる。
今度その沈黙を破ったのはらんくんだった。
真っ直ぐな瞳でらんくんはすちくんを見ていた。
多分何かを訴えているのだと思う。
それを読み取ったのかすちくんは少し考えてから小さく頷いた。
こっちを向いて笑顔を浮かべて話してくる。
それが作り笑顔だということは誰でも見抜けただろう。
私も少し笑って返した。
2人が帰ってくる時、笑ってたらいいなと思いながら生徒会室を出ようとする2人の背中を見つめた。
そしてらんくんがドアに手を掛けようとした瞬間、
ドアが開いた。
明らかに戸惑っている2人と黙っている私。
私は何と言っていいのか分からなかった。
この数分で気まずい空気はどんどん膨らんで、私が何の発言権があるのか分からなかった。
この自体を巻き起こしたのは自分なのに。
こんな自体が腹立たしい。
いるまくんは最悪のタイミングで来てしまっただろう。
誰も何も言わずに下を向いている。
いるまくんがそう問いかけた後、らんくんがいるまくんの耳元で何かを呟いた。
私の耳にはそれが何か聞こえなかったけど、いるまくんの表情からして何かすごいことを言ったんだろう。
とても驚いたような顔をしている。
そして静かに3人が生徒会室から出ていった。
3人を笑顔で見送った後、私は1人椅子へ腰を落とした。
誰もいない部屋で1人呟く。
後悔なのか悲しみなのか分からない感情をぶつけるところも見当たらないため、独り言にして外へ出してしまおうと言葉を続けた。
そんな願い事を呟いて、いっそのこと全部忘れてしまおうと思い寝ることにした。
そんな私の顔に少し涙が伝ったのは誰も知らない私だけの秘密。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。