簓side
pipipipipipipipi
せわしないリズムを刻む音が頭に響き目を覚ます
目覚ましのアラームを止めてスマホを開いた
時刻は午前5時丁度
今日から海外ロケやった……
重い身体を起こし、あなたを見るとスースーと静かな寝息を立てて眠っている
そっとあなたの頬に触れる
その頬は柔らかくさらさらしている
頬を手の甲で撫でているとあなたがんん…と声を立てた
あ…、起こしてしもうたかな?
そう思ったがまた寝息を立て始めた
ほんま可愛えぇ…
家出る時にでも起こそか
そう思いベッドから立ち上がる
ベッドから起き上がった衝動で起きてしまったらしい
こんなんで起きるんか……睡眠浅いんか?
眠そうな目を擦りおぼつかない足でふらふらと立ち上がる
そういうもあなたは首を横に振る
むっちゃ眠そうやん、わざわざ俺に合わせて起きんでええのに
わかったって、何がや?
まさか
俺がそう聞くとあなたはキョトンとした顔をする
せやろな
海外ロケが決まった時朝早いから勝手に家出る言うたんやけど不満そうやったし送ろうとするとは思っとったけど……
シュンとして悲しそうな顔をする
そんな顔されると弱いわぁ
絶対着いてくる気なんやな……
まぁ、送ってくれるんはめっちゃ嬉しぃねんけど……大丈夫か?俺は移動中に寝る時間あるけど…あなたは日中忙しいやろうし……
あなたは大阪へ来て、1人で暇な日中は人手の足りてない店の手伝いや捜し物を受けたり、いわゆる何でも屋的なことを始めた
そのため、平日の昼間は簓や盧笙と変わらないほど忙しい
今から寝ろ言うても聞かんよなぁ…
あなたside
時刻は6時15分
予定より早いが準備が完了した
早く行って損は無い、少し早いが私達は家を出ることにした
一緒に簓の家を出てマンションの地下駐車場へ向かう
空港までは簓のマネージャーさんが手配してくれたタクシーで行くことになっている
地下駐車場へ行くと既にタクシーが私たちのことを待っていた
運転手
「いやいや、時間より早く来てくださって全然待ってませんよ」
そして、タクシーが発進された
空港に着くまで約10分から15分と言ったところか
空港に着けばすぐ簓とお別れだ
他愛のない会話をしていたらあっという間に空港へ着いてしまった
空港に入ると朝方にもかかわらずちらほら人が居る
みんな仕事とかなのかな…大変だな
そう言って簓は私の頭を優しく撫でる
離れたくない思いを抑えて笑顔を作る
私は嘘をつくのが苦手だ全部顔に出でしまう
だから簓は私が無理をして笑っているのに気付いたのだろう
簓は私を抱きしめ、優しく頭を撫でた
簓を見上げると眉を下げて優しく微笑んでいる
私がそう言うと簓は顔を赤くする
私が簓の後ろを指さすと簓は驚いて後ろを振り向く
マネ
「いやぁ…はは……簓さん彼女さんおったんですね」
マネ
「あ…っ!DJ ROKUROの弟子 ってまさか DJ E.Hさんですか!?」
マネ
「そりゃ知ってますよ!全国注目の若手DJ E.H を知らんわけないやないですか〜!!僕ファンなんです!!!顔が似ててまさかな〜って思っとったんですけど…!ホンマにDJ E.Hやなんて!! 」
マネ
「言ってませんもん」
ふふっ、マネージャーさんと仲良いんだな簓
マネ
「名前あなたさんって言うんですね!あの、良ければサインとか……」
マネージャーさんが簓を遮って話しかけてくる
さ、サイン……?そんなの考えたこと無かった……
マネ
「そうなんですか!!じゃ、じゃあ…握手なんて……」
マネージャーさんが私の顔を伺うように見てくる
マネ
「い、いいんですか!?」
マネージャーさんは目を見開いてキラキラと瞳を輝かせる
ふふっ…無邪気な人だな
私とマネージャーさんのやりとりをまじっと見ていたと思ったら突然マネージャーさんにキレだす
マネ
「ゔっ……さ、簓さん…あなたさんがいいって言ってくれはってるし……いいやないですかぁ」
マネ
「す、すんません…」
名前じゃなかったらDJ E.Hって呼ぶよね……なんかやだ
名前で呼んでくれる方が私はありがたいんだけど……
マネ
「うわぁ〜!あなたさんめっさ優しい!可愛ええ!」
簓はマネージャーさんの服の後ろ首を掴む
マネージャーさんは やめてくださいよ〜!! と言いながら笑っている
人の良さそうなマネージャーさんみたい、良かった
マネ
「あぁっ!!簓さん!はよ行かんと!!」
マネージャーさんは焦った様子で簓を急かす
マネ
「はは……すんません……」
「あ、あの、」
マネージャーさんが小さい声で私に話しかける
手を差し伸べて中腰になると恐る恐る私の顔を覗いてきた
そう言ってマネージャーさんの手をとって、ギュッと握った
マネ
「は、はぁぁだぁあ!!!うわぁぁあ!ありがとうございます!一生手洗いません!」
簓がマネージャーさんの頭にちょっぷを入れる
マネ
「あだっ!」
マネージャーさんは頭を両手で抑えて目には涙を浮かばせている
簓は頬を膨らませている
子供……
マネ
「はは、ほんまその通りで……
…………簓さん、ほんまにまじで時間やばです」
マネ
「え、なんでですか」
マネ
「…わかりましたよぉ…あなたさん、ほんまにありがとうございました、これからも応援してます!頑張ってください!!
簓さんはよ来てくださいねー!」
そう言ってマネージャーさんは手を振りながら走って行く
私が手を振り返すと嬉しそうに笑っていた
呆れた顔をして走り去っていくマネージャーを見る簓
なぜ先に行かせたのだろう簓も早く行かなければならないのに
私がそう聞くと簓は不満そうな顔をする
自信満々で言うが、本当に時間はない
内心簓もかなり焦ってるんじゃ…
私が聞くと簓は真顔になって私の正面に立つ
私の顔をじっと見つめながら「行ってくる」と言う
え、どういうこと?
まぁ、とりあえず……
私がそう言うと簓はふっと笑って
私の額に唇を落とした
顔が熱くなっていく
やばい、私絶対顔赤くなってる
上を見ると簓も頬を少し赤らめて笑っている
行ってきますのちゅー……か……なら、
ニコニコと満足気な簓の服をグッと引っ張る
簓の顔が私の顔と同じぐらいの位置にきたところで簓の頬にキスをした
簓の服を離し、簓の顔を見ると顔を真っ赤にしている
多分、さっきまでの私より赤い
そう言って微笑むと簓は顔を手で覆って
あ"〜っと唸っている
そう言ってヘラっと笑う簓
簓が真顔で言ってくる
腕時計をちらっとみて、簓は軽くため息をついた
簓が見えなくなるまで手を振った
簓も私が見えなくなるまで手を振っていた
別れたばかりなのにもう簓が恋しくなってくる
…この調子で3日耐えれるかな……
タクシーを拾い先程出たばかりの簓の住んでいるマンションへ戻る
無駄に広いその部屋は簓が居ないことでより1層広く感じられた
盧笙の家に泊まるにあたって必要な荷物をバックにまとめる
着替え、寝巻き、他にも日用品を詰めた
あとは……冷蔵庫に入れていたプリンを取りだす
簓が買ってたやつだけど、持ってっていいかな……?
まあ、いいよね あ、あとお酒も持ってこ
冷蔵庫から取りだしたプリンとお酒をリュックに詰める
家のカーテンを全て閉め、全ての窓に鍵がかかっているか厳重にチェックする
よし、鍵も全部確認したし……そろそろ行こう
リュックを背負い、肩にバックを掛ける
玄関へ行きいつもの靴を履いて家の中の方を向く
盧笙side
時刻は7時30分
昨日の2人の話によればあなたは朝ここへ来て荷物を置きに来る
合鍵は簓から渡されているらしいから俺が仕事に行った後に勝手に入るんやろな
ガチャッ
そんなことを考えていたら突然玄関の鍵が開く音がした
『お邪魔します〜』
聞き覚えのある声がしてリビングのドアが開けられる
あなたが俺の姿を見るなり絶叫した
なんでお前がびっくりしとんねんこっちがびっくりやわ
確認しないで鍵を開けて入る、簓の悪い癖があなたにうつってしもてる……
そう言うとあなたは目線を落として悲しそうな顔をする
なんでそない顔すんねん…
あなた……簓が東都おった時から知り合いらしいし、おらんとやっぱ寂しいよな…簓の代わりに俺はなれへんし……
あなたはリュックを背負って肩にはボストンバックを提げている
あなたが肩に下げていたバックを受け取り寝室に行く
ふと自分がいつも寝ているベッドが目に入る
大事なことを忘れていた
リビングに戻るとあなたがリュックをおろして何かを漁っていた
寝るとこなんも考えとらんかった…
あなたがベッドで寝るんやったら俺は床で寝ればええけど、、
いつも俺が寝てるベッドで寝たくないかもしれへんし……
あなたが眉をひそめて俺を見る
逆ってあなたが床でねるんか?そんな事させれるわけないやろ……!
あなたの様子から絶対譲らないと言う意思が汲み取れる
そう言われてもなぁ……俺も譲る気ないし
!そうや簓の家でどないしてんのやろ
あなたが平然と答える
一瞬思考が停止した
ちょっい待て、は?聞き間違いとちゃうよな一緒に寝とる?ベッドで??
俺の声にあなたが体をビクッとさせて驚く
う、うん……と言ってあなたは戸惑った顔をする
いや……おかしいやろ
あいつ何一緒に寝てんねん帰ってきたら絶対シバいたる
あなたはうーんと考えるとまぁ、簓とは元々それなりの仲だしだとか言い始める
それなりの仲ってどんぐらいの仲やったん……?
あなたがえっと声に出す
何を言ってるのか自分でもよく分からなかった
自分の言ったことを理解して恥ずかしさが込み上げてくる
忘れてや そう言おうとしたところであなたが口を開いた
あなたが大きく頭を縦にふる
いや……あかん、やろ……あなたが良くても俺があかんわ
あなたは何も思わんかもしれんけど俺は気が気やないねん!!
……ん?
あなたの顔がどんどん曇っていっている気がした
そう言うあなたの顔は明らかに暗く、視線を落としている
あなたは暗い顔をしたまま頭にはてなを浮かべている
あなたはまだ17歳、一緒に寝るなんてことは成人してたとしてもあかんけど未成年やともっとあかん気がする
しかしあなたは納得してい無い様子だった
え、いやなんでそんな不満そうな顔なん?
そう言われると気にしている自分が恥ずかしくなってきた
気にしてるということは自分が少しでもそういう事を考えてるから
あなたが気にしてないのはそんな思考は一切頭にないからだということで…
もしもの場合でもでもそういう事を考えている時点で不純であることの証明になってしまう
確かに、こない気にする方がおかしい、かもな……
全く知らんやつな訳でもないし、あなたからの提案やし一緒に寝るぐらいええのか……?
なんやあなたに上手く丸め込まれとる気がする
いや!それだけは
そういうとあなたが笑い始めた
俺が言い終わらないうちにあなたが口を挟む
そうや、今何時や……?
腕につけてある時計をみると7時48分を指していた
いつも出てる時間から8分も過ぎていた
急いで玄関へ行き靴を履く
玄関のドアノブに手をかけたところで盧笙!っと呼び止められ後ろを振り向くとあなたがいた
あなたが万遍の笑顔で言う
あなたside
〜喫茶店〜
店員
「あなたの名字さーん ぼちぼちお昼の休憩入ってええですよ〜
3時になったらまたお手伝いお願いしますー!」
店員
「ほんま助かりますわ、ありがとうございます!」
店員
「はい!ほなまた後で!」
店員さんに軽く頭を下げてお店を出る
今日は喫茶店のお手伝いをしている
盧笙が家を出て荷物を解き、1時間後ぐらいに家を出た
朝9時から現在時刻1時まで働いていた
3時に戻って、そっから4時までで今日は終わり、か
お腹すいた……良さそうなとこ入ってご飯食べよ
特に行くあてもなく大阪の街をみながらぷらぷら歩いていたら、「なぁ君」と声をかけられた
声のした方をみるとセンター分けのチャラそうな男の人がいた
う…ナンパかな…?苦手なんだよなぁ
センター分け
「うん!君さ、ここらの人とちゃうやろ?」
センター分け
「やっぱり!!なんやキョロキョロ街見とるから迷子か思ったんやけど」
気をつけないと…確かに私の挙動傍から見たら道に迷った観光客……
センター分け
「めっさキョロキョロしとったよ」
話しかけてきたお兄さんは「君、おもろいね」と言って笑っている
ナンパかと思ったけど、迷ってると思って話しかけてくれたんだ……簓は大阪は東都より治安悪いから気を付けぇって言ってたけど明るくて暖かい人も多いように感じる
センター分け
「迷子やないんなら、俺とどっか遊ばん?俺いいとこ知ってんねん」
先程までにこにこと朗らかな雰囲気を纏っていた男は突如顔を変えた
目つき、声色、表情、何度も経験したことのある雰囲気だった
ナンパ、、いい人だと思ったのに、……
センター分け
「何で?迷子やないんやろ、なんであかんの」
センター分け
「ははわっかり易い嘘やな〜、笑えてくるわ」
そういう男の目は一切笑っていない
めんどくさいのに絡まれた…嘘つくの下手なんだよなぁどうしよ
こういう時は逃げるが勝ちだよね
そう言って足早にその場を去ろうとすると腕をしっかり掴まれた
腕に力が込められていく
痛い、気持ち悪い、…
「なぁ、まだ話し終わってへんやん俺と一緒に行こうや」
センター分け
「はぁ、なんなんほんまにこっちが親切してやったっちゅーにそないな態度とるん?」
肩から下げていたバックに手を入れヒプノシスマイクを握る
身体的な力じゃ及ばない…マイクを……
いや、マイクはだめ…、騒ぎになったら困るし…
何よりマイクは無闇に使っていいものじゃない
どうしたら……
センター分け
「あぁ?おい何しようとしとんねんバックから手だせや!!」
やばい、バレた…!
やっぱりマイクを……っ、!
「おいおい〜そんなおっかねぇ面してっと女の子はみんな去っちまうぜ〜?」
突如聞き覚えのある声がしたと思うと私の腕を掴んでいた手が離れた
先程まで私の腕を掴んでいた男は一回り大きい男に腕を掴まれていた
No-side
男に絡まれてる嬢ちゃんがいると思ったらまさかあなただとはな〜
あなたが目を見開いて零を見る
センター分け
「チッ 離せやおっさん」
男は舌打ちをすると心底機嫌が悪そうに零を睨みつける
センター分け
「てめ…っ あぐぅっぅ……!!」
男が零に殴りかかろうとした瞬間、零が男の腕を掴む手に力を入れた
男は顔を歪めて苦しそうな声を出した
あなたが不安そうな目で零と男を見ている
おっと…あなたの前だったな
零は男の腕を離し、あなたに近寄った
頭を撫でてやるとあなたは安心したように頬を緩ませる
男の方を見るとこっちを睨んでいる
センター分け
「おい…、お前なんやねん…!邪魔しよって、!」
サングラスから目を覗かせて男を見下すと
男は怖気付いたのかクソッ…!と言って足早にどこかへ行ってしまった
零side
そう言って片口角をあげる
ここに来てまでナンパに捕まるとはなぁ…
そう言って下を向くあなたの頭に手を置いて軽く撫でる
あなたが微笑んだ顔を向けてくる
誰にでもこんな調子だから絡まれるんだろうなぁ…
てことは飯はまだってことか
護衛も兼ねて飯でも奢ってやるか
あなたが手を取りたこ焼きのキッチンカーを指さす
あなたが怪しむような目で見つめてくる
事実を言ったがなお怪しんでる様子のあなた
いつものように明るく楽しそうにしているあなた、でも俺には元気を取り繕っていることはとっくにわかっている
なぁ〜んか様子がおかしいな…?
わかりやすい嬢ちゃんだなぁ
零の目は全てを見透かしてるようだった
少し悩んだ様子を見せたが零の言う通り隠す必要も無いと思いあなたは口を開いた
さぁてどんな反応をするのかねぇ
予想していた反応とは裏腹にあなたは万遍の笑みで答えた
なるほどなぁ…こいつの好きは俺が考えていた好きとは違う方か
こりゃあ簓と盧笙苦労しそうだぜ……
あなたは髪をいじりながら頬を赤くして笑っている
おいちゃんまで歳柄にもなくドキッとしちまったぜ
あなたは突然お腹を押さえて下を向いた
そう言うとあなたは顔を真っ赤にする
あなたは口をへの字にして悔しそうな顔をする
先生とどことなく同じ匂いがすんなあ……
眉間に皺を寄せてゔぅと唸っているあなた
そんなあなたを見てふっと笑い肩を引き寄せる











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。