ああ、またか。また見逃していた。
キラの裾に着いた紅。瞳の中にある戸惑いと恐怖。そこにはナニカと、ナニカと、ナニカがある。
分からない。どうしても、わからない。
何でこんなことになった?なんでキラは薬物乱用なんかに手を伸ばした?そして、自傷行為までするようになった?
そんなことするような奴じゃ、なかったはずなのに。
なんで俺は気づかなかったんだ。相棒なのに。
キラは太陽じゃない。人間で、1人の子供だ。
なんで俺じゃなくて、紫霊が1番気づいていたんだ?俺が今まで見て来たキラは嘘なのか?嘘で、紫霊にだけ見えた『本物』のキラがあったのか?俺は、気づかなかったのか?
_______1番そばで、『相棒』と呼び合っていたのに?
唐突に訪れた転落なんて、キラからしたらちっぽけで、なんなら怒りすら感じるのだろうか。
紫霊に言われてキラに秘密で泊まらせてもらってた。
嘘だと妄信的に願い続けて、結果がこれ。
少し笑いながら、苦しそうに。
でも、やっぱり楽しそうで満足そうなキラの笑顔を見て満たされてしまう俺は_______
…………もう、手遅れなんだろうな
廊下が少し軋んだ音がした後、電気のあまりにも眩しすぎるが開かれた扉の隙間から差し込む。
紅葉は周りを見渡す。
虚な瞳なキラと、俺。
これだけでも何かあったと分かるには十分な情報量だが、キラが机に当たった反動…いや、キラの感情が昂った反動で辺りには少し薬が落ちている。
キラの腕には、カッターで切り刻んだような血もついている。紅葉だってバカじゃない、多分気づいただろう。
_______もし 、 追い詰められてしまったら ?
俺の中の 『 太陽 』 が 、 戻らなかったら 。
急に声をあげて紅葉の言葉を遮る。
それと同時に、俺も現実に突き落とされる。
涙と共に、言葉が紡がれる。
ただ、俺は分かっていた。
少しだけ、置いてかれた時間を元に戻したような感覚。
全てを少しだけ変えて、そばに居続けてたらわかったのだろうか。
………ああ、なんで俺が”救世主”になってやれなかったんだろう。
助けられてばかりで、助けられずにいたんだろう。
_______俺は、お前の”救世主”になりたかったよ。
………なんで、俺が真っ先に駆けつけられなかったんだろうな。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。