「暇72様の役職は‘占い師’です。一度だけ、一人の人狼がどうかを見ることが出来ます。メールで占いたい相手の名前をゲームマスターへ送信してください。」
スマホをポケットへしまい、再び歩き始めた。
すちが死んだ。
そして、すちを殺した犯人はVOISINGメンバーの中にいる。
その無慈悲な事実が重くのしかかる。
ないこはきっと本気で犯人を殺すつもりなのだろう。
人一倍正義感が強く、VOISINGを愛している奴なのだ。当然だ。
だが、本当にこれでいいのか。
ただでさえすちがいなくなってしまったと言うのに、これ以上VOISING全体がバラバラになってどうするのか。
もちろんすちを殺した奴は許せない。
でも俺は本当は殺しなんてしたくない。
とにかく占いは怪しい人物が出るまで取っておこう。
自分が占い師であることは伝えるか否か……。
突然背後から声をかけられ、振り向くと我らがシクフォニ唯一の王子、みことがいた。
とりあえず今は、自分が占い師であることは隠すことにした。
次のみことのセリフを、聞くまでは。
ほとけが占い師?
どういうことだ?
占い師は一人だったよな?
なんでみことがそんな嘘吐く必要が………?
いや、ほとけがみことに嘘を吐いた?
そんなことをして得をするのは………。
突然肩を掴んで大声を出した俺に動揺するみこと。
あまり腑に落ちていないようだ。
眩暈がした。
もう、見つけてしまった。
この中に紛れる、嘘吐きを。
少し強引だとは思うが、今はみことの素直さと物分かりの良さに感謝した。
みことからしたら、こんなの俺が怪しいだけだ。
俺はみことが行ったのを確認すると、迷わずスマホを開いてゲームマスターへメールを送信した。
「-hotoke-」
返事はすぐに来た。
「-hotoke-様は人狼ではありません。」
人狼ではない?
どういうことだ?
それなら何故嘘を吐く必要がある?
こんな嘘を吐いて得する奴は人狼くらいしか……。
いや、
もう一人いた。
ほとけはおそらく、
いや、絶対、
狂人だ。
「-hotoke-様の役職は‘狂人’です。人狼の手助けをし、村人陣営を殲滅してください。
現在判明している役職
りうら 人狼
-hotoke- 狂人
初兎 ???
ないこ 村人
If ???
悠佑 ???
Coe. ???
Relu ???
如月ゆう ???
こったろ ???
くにくん ???
LAN ???
暇72 占い師
❌すち ???
雨乃こさめ ???
いるま ???
みこと ???
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!