第32話

twentyfive
2,980
2025/08/14 10:25 更新
 side 慎太郎




「森本くん、ちょっといいですか?」



ある日、いつもの如く北斗の御見舞に来たとき北斗を担当している主治医の先生に呼び出された。



何かあったのか、と単純に疑問だけを浮かべてついていくと、入院患者専用の待合室にあるソファーに座るよう促されたのでそのとおりにする。


森本慎太郎
あの、どうかしましたか?



そう聞くと主治医の人は少しの間を明けたあと、ゆっくりと口を開いた。






「彼の、北斗くんの記憶喪失の件なんだけどね、」












松村北斗
あ、森本さん!


病室のドアを開けたらいつものように明るく出迎えてくれる北斗。



大型犬のように尻尾を振っている(ように見える)のがすげー可愛い笑。



森本慎太郎
北斗、体調は?
松村北斗
大丈夫だよー


北斗は何度も通い続ける俺に対しては人見知りしなくなったようで、ずっと前の、SixTONES全員が仲良しだった頃に戻った見たいで嬉しい。



『慎太郎元気ー?俺は元気ー』

「俺言ってない!しかも聞いてない!」



『んふふー』

珍しく朝からテンションが高かった北斗とそんな話もしたなぁと思い返す。


松村北斗
どうしたの?浮かない顔してるけど…。何かあった?
森本慎太郎
…いや、なんもないよ!



北斗は人の変化に気づきやすいんだ、昔から。


だから隠さないと。


これ以上北斗の負担になる事はしたくないから。






『北斗くんの記憶喪失の件なんだけどね』












『やっぱり脳に全く異常は見当たらなかったよ』
その言葉を聞いたとき、喜んでいいのか、駄目なのか、判断ができなかった。





森本慎太郎
…それって、どういうっ………




こういう時だけ高速で回ってしまう頭が恨めしかった。




最悪の事を想像してしまって。




そうでないであってくれと願うばかりだった一つの仮説。







『うん、』








『北斗くん自身が、この世に存在する"自分"を拒んだんだろうね。』









『特に、"SixTONES"に存在する、"松村北斗"を。』






北斗が、俺らを拒んでこうなってしまったのではないかという、悲しい仮説を





事実だと、その悲しい仮説が真実だと突き付けられて





どうして普通にしてられるだろう。





どうして、普通を装えるだろう。





髙地ならできたかもしれない。






でも俺には、できないよ…。





松村北斗
……ねぇ、森本さん?大丈夫じゃないよね?話、聞こうか?


必死に隠したのに、大丈夫なふりしたのに、



何で気づいてしまうんだ。


俺はもう、北斗に迷惑なんかかけられる立場じゃないんだから。



最後まで、隠さなきゃ。



森本慎太郎
っぁ、ごめんっ!このあと用事あるんだ、!俺、行くね?
森本慎太郎
あんまり話せなくてごめんっ......




俺は北斗に背を向け、飛び出すように病室を出た。





松村北斗
慎太郎!!!!





そう・・呼ぶ北斗の声に気づかないふりをして。








プリ小説オーディオドラマ