その合図とともに走りだす。
素の力でやったからか、最高記録には程遠い。
ん…まぁいいかな。
いや、怖いよ緑谷くん。
ってか…無個性、無個性うるさいんだけど。
バギッ。
…あれ?
ゴギッ。
…おりょ?
ん〜まぁ確かに、刀扱うから握力鍛えたけどさ。
ま、いっか。
これ…は、足に呪力を纏わせれば。
永遠に飛べちゃうわけだ。
ん、いい調子なんじゃないかな。
これはじゃあ…素でやってみようか。
ほっと…。
やばいねコレ。
本当に無個性かどうか疑われちゃいそう。
指に僅かに呪力を込めてボールを前に押し出す。
さーて、どうなるかな
よっしゃ素でやろ。
あんま術式使ってもねぇ。
の合図と共に走り出す。
素での持久走なわけで、まぁ持久力あって良かったよ。
特級ともやり合うからね。
持久力はないと。
また鍛えないとダメかもね。
ん〜悠二には負けてらんないなぁ。
って思いながら上体起こしに取り組む。
うぅ…悠二に勝ったのか負けたのか分かんなくなった。
長座かぁ…。
頑張るかなぁ。
あと1センチで80だったのに…。
その合図と共に、私は更衣室へと向かった。
あ、瞬間移動でね。
だから、あなたに話しかけようとしていたA組が驚いていたのを、私は知らない。
制服に着替え終わったところで、呪霊の気配を感じる。
あ゙ー…ついでだ、ついで。
まとめて祓っちゃおうか。
更衣室を出た私は、人目につかない場所に移動した。
建物への被害がいかないように…。
よし。
これで大丈夫。
教室、戻りたくないなぁ。
なんて、思ってもみるけど。
戻らないと、護衛もできないもんね。
行くかぁ。
教室に戻ったあと、私は質問攻めにあった。
…うるさいなァ笑。
無個性って、そんなに悪いことかな?
一個一個の質問に返していると、不意に焦凍と目が合ってしまった。
その冷たい瞳を見ただけで、かつての記憶が蘇る。
あーどうしよ笑。
私って確か、病弱ってことになってるんだっけ?
そう言うと、皆が申し訳なさそうにこちらを見る。
そうこうしているうちに、午前中の授業が終わった。
お昼、どうしよ。
朝も気力が沸かなくて弁当作ってないんだよなぁ。
ま、食べなくても何とかなるでしょ。
って、うん?
この呪力ってもしかして。
何でここに…。
そうだったんだ…。
恵が、わざわざ私のために作ってくれた弁当。
それだけで、午前中の疲れが吹き飛んでいく気がした。
優しく頭を撫でてくれた硝子に向かって薄っすらと微笑む。
それから、硝子がいなくなるのを見送り続けた。
先程までの楽しそうな雰囲気から一変。
A組に話しかけられたというだけで、口調が一気に変わる。
けれど、A組はそのことに気づいていないようだった。
…面倒くさいけどまぁ。
仲良くしておかないと、守れるのに守れない…ってなるからね。
指示を聞いてもらえなかったりさ。
そう言って来たのは八百万、耳郎、葉隠、蛙吹、麗日の五人。
結局、女子全員じゃん。
そう言って連れて行かれたのは、食堂のようなとこ。
私がそう言うと、六人は注文をしに行った。
まぁ人も多いし、しばらく時間かかるだろうね。
って、うん?
弁当を包む手ぬぐい?の間に、何か紙が挟まっているのを見つけた。
なんだろう…って、これ。
広げてみると、そこには…。
【あなたへ。
雄英初日、午前の授業お疲れ様。
辛いことあったらいつでも聞くから、帰ってこいよ。
あと、今日の迎え楽しみにしとけって五条先生が。
頑張れよとは言わないから。】
そこまで読んで、思わず涙が出そうになった。
でも、手紙にはまだ続きがあった。
【ただ、生きていてほしい。
壊れないでほしい。
いつでも電話してきていいからな。
また後でな、あなた】
私達呪術師に、明日の保証なんて無い。
だからこそ、“また”という言葉がこんなにも支えになるとは思わなかった。
それからしばらくして、午後の授業が始まった。




























編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。