ヒーロー基礎学。
こんなん、学ぶ必要もないじゃんね。
あぁでも、これ終わったら下校じゃん。
高専に会えるんじゃん。
なんて言いながら教室に入ってくるオールマイト。
地味に声大きいのやめてほしい。
ってか、ドアから以外どっから入ってくるつもりだったの。
A組は興奮してるけどね。
オールマイトの言葉に、緑谷と爆豪が反応する。
…あの二人、本当は仲良いんじゃないの?
それはいいね。
高専に戻れる気がする。
…早く着替えちゃお。
そう思った私は、誰よりも先に教室を出た。
だから、
こんな会話がされているのも知らない。
体の傷を見られたくない私は、A組女子が更衣室に来る前に着替えを済ませ、グラウンドに向かった。
にしても、白の制服ってなんだか新鮮かも。
…面倒くさいな。
そう冷たく言い放っても、オールマイトは何も変わらない。
その言葉に、私はただ頷いて見せる。
少し悩んでしまった。
オールマイト、かぁ。
野薔薇は確実に彼に勝てると思う。
オールマイトの方が活動歴が長いとはいえ、ね。
私の言葉に、オールマイトは息を呑む。
実際に散弾銃や拳銃で勝てるかは分からないけれど。
甘さと心の弱さを考慮すれば2級〜3級かな。
来るわけがない。
個性がある限り。
ヒーローが存在する限り。
負の感情は増加し続け、呪霊も増える。
そう言ったオールマイトの目は、平和を信じて疑わない目だった。
…吐き気がする。
お前らヒーローのせいでヴィランが生まれ。
負の感情が生まれ、呪霊が生まれているというのに。
それだけ言ってから、後ろを振り返る。
私がそう言うと、ゾロゾロとA組が出てくる。
なら良いよ!と言って、オールマイトは私達に向き直る。
大嫌いなその言葉を反芻する。
右手の薬指にはめた指輪を見て、心を落ち着かせる。
オールマイトがそう言うと、A組はざわつき始める。
…神様、ね。
神様。
その言葉だけは、言われたくない。
そもそも、生きている人間に神様みたいもクソも無いでしょうに。
にしても、焦凍のコスチューム。
エンデヴァーを全否定してる。
本当に…。
っぁ、声出てた。
慌ててあたりを見渡すが、誰も聞いていないようだった。
ふぅ…良かった。
それからの説明の内容は、正直言って覚えていない。
ただ、私は一人チームになったから、誰か一人と戦わなくてはならないこと。
選ぶのはオールマイトに任せることにした。
その言葉に、空気が揺れた。
よりによって最高傑作かよ。
面倒くさいなぁ。
あ、そうだ。
せっかくだし、最高傑作の負けヅラでも拝んでみようかな笑
へぇ、随分と変わったものだ。
そりゃそうか。
ずーっと、No.2への憎しみを募らせてたんだもんねぇ笑
モニタリング室を出ようとしたその時、麗日と緑谷に呼び止められた。
ふぅ〜ん、無茶しないでね、か。
でしょ?悟。
訓練場所のビルに着いた私は、軽く準備運動をする。
結局、私がヒーロー、焦凍がヴィランということになった。
その合図と共に、氷が襲ってくる。
なるほどね、さっきと同じだ。
舐められたもんだね、私も。
カメラの死角でサングラスを外し、位置情報を確認する。
ほんっとに舐めてる。
ムカつくなぁ。
まぁでも。
これで終わりね。
そう小さく言って、焦凍に手刀を食らわせる。
私はそう言って、彼を放置してモニタリング室に戻る。
そして、初のヒーロー基礎学は終わりとなった。


























編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。