にしても、まだ呪霊いるなぁ…。
少し祓ってくかな。
教室行くかぁ。
あ、今日の迎えって誰が来るんだろ。
そんなことを考えながら教室に向かっていた私は、コスチュームから着替えていないことに気づく。
教室の扉を開けると、トゲトゲした赤い髪の子に話しかけられた。
確か名前は…切島鋭児郎。
私はそう言いながら自分の席に向かい、荷物を整える。
…面倒だね。
そろそろ迎えも来るし。
手を合わせて断る。
あーあ、早く来ないかなぁ。
なんて考えていたら、感じ慣れた呪力を感知した。
そう、低くて落ち着いた声で私を呼ぶ、愛しい人。
私は荷物を持って、恵のもとに駆け寄る。
そのまま、彼に勢いよく抱きついた。
そんな様子を見て、A組が驚きの表情を浮かべる。
恵もまた、力強い腕で私を抱きしめてくれる。
そう言って頭を撫でてくれる恵の手には、お揃いの指輪とブレスレットがあった。
それを見た私の心は、優しく暖まった。
私はそれだけ言って、恵の腕を引いて教室を後にした。
――A組
No side
伏黒とあなたへの疑問が大量発生してました✌
…にしても、あの焦凍の目。
小さな声で呟く。
それが恵に聞こえていたのか、彼は私の手を握る力を強めた。
そう言うと、恵は私の家の鍵を開け、雄英にいたときから持ってくれていた荷物を部屋に置きに行ってくれた。
その間、私は手洗い・うがい・着替えを済ませソファーでボーっとしていた。
いつの間にか下に戻ってきていた恵が、私の目の前にコーヒーを差し出す。
小さな声で、ポツポツと話し始める。
そう言うと、恵が私の手を掴む力を強める。
あの、憎しみに染まった目が。
その言葉と同時に、私は恵に抱きしめられた。
悲痛な声でそう言われて、私の涙腺が崩壊した。
今まで抑え込んできた感情が、堰を切ったように溢れ出す。
恵は何も言わずに、ただ私の頭と背中の傷を撫で続けた。
もう、雄英の何もかもが嫌になった。
無個性だから弱いと決めつけるところも。
ヒーロー科に入る=個性が強いと思っているところも。
サングラスをかけている理由を、良かれと思って踏み込んでくるところも。
全部、ぜんぶッ…!!!
感情が、とめどなく溢れていく。
それが限界に達しそうになったとき。
恵の唇によって、私の口が塞がれた。
恵の、闇があるけど芯の通った美しい翡翠色の瞳を見る。
そうするだけで、あんなにも荒れていた心が落ち着いていく気がした。
少しだけ赤くなった頬。
翡翠色の瞳に浮かぶ、私への愛情。
…家族からは愛情が注がれなかった。
その代わりに、悟や硝子、傑、恵が溢れんばかりの愛情を注いでくれた。
今となっては、2年生や1年生も愛情を注いでくれる。
ふふ、私ってほんとに幸せ者だなぁ。
それからしばらく、二人で世間話をしたり。
ご飯を食べたり。
お風呂に入ったり。
ごく普通の、幸せな時間を過ごした。
そう言って、私は部屋に恵を連れて行く。
恵の微笑んだ顔を見た私は、彼の腕の中で優しい夢の世界へ落ちていった。





























編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。