ふぅ…これで今日の任務も終わり、か。
まだ日付も変わったばっかだし…。
でもな、夜起きてる日の方が多いし。
それに、
今日の護衛で何か起きるのかな。
最近は稽古の時間も取れてないし。
シュンッシュンッシュンッ
素振りをする音が、道場に響く。
いやあ、悟が家の裏に道場も用意してくれてたんだよねえ。
助かるけど笑
一万を超えたあたりで、息が切れ始める。
一度素振りをやめ、人型模型を取り出す。
今度こそ、五段突きを成功させたい。
平青眼の、少し独特な構えで突きを放つ。
一回。
二回。
三回。
四回。
そして…五回。
一度の踏切で五回の突きを放つと、少ししてから模型がピシピシと音を立てて割れた。
ようやく、ようやく成功した…!
これでまた、多くの呪霊を祓える。
できたことの嬉しさからか、睡魔に襲われた。
ゆっくりと瞳を閉じる。
久しぶりに、夢を見ないで寝れたような気がした。
…んッ。
柔らかな光を感じて目が覚める。
今…6時か。
そう思った私は、学校に行くための準備をして学校に向かう。
朝の雄英高校。
窓から差し込む光は柔らかく、校舎の廊下には生徒たちの声が響いていた。
笑い声、挨拶、靴音。
けれど__。
その喧騒は、私にとってどこか遠い。
玉犬を出し、あたりの呪霊を祓うように命じる。
ついでに、何かあったら合図するように頼んで、ね。
うん、これくらいでいいかな。
教室…行くかなぁ。
教室の前で足を止める。
ドアの向こうには、今日も同じ世界がある。
……別に嫌じゃない。
ただ、闇を知らない光が嫌い。
私は無言のまま、ドアを開けた。
ガラガラッ。
教室の空気が一瞬、動く。
入った瞬間、女子の声が一斉に飛んできた。
……朝の挨拶。
普通の、当たり前の光景。
私は一瞬だけ立ち止まり、少しだけ首を傾ける。
それだけ言って、私は自分の席へと歩いていった。
机の脚が床を擦る音。
椅子を引く音。
それ以外は、何もない。
しばらくして——
小さな声が、聞こえてきた。
……うん。
聞こえてるんだよなあ。
全部笑笑
私は机に頬杖をつきながら、窓の外を見る。
別に否定もしない。
突然の低い声に、私は顔を向ける。
爆豪は少しだけ眉を寄せる。
短い。
でも、真っ直ぐで、少し荒々しい声。
私は少しだけ目を細めた。
そう答えた瞬間。
ぐしゃっ。
爆豪の手が、私の頭を雑に撫でた。
舌打ちをした爆豪は、そのまま自分の席へ戻る。
椅子にどかっと座り、窓の外を見る。
何事もなかったかのように。
私はぼんやりと髪を整える。
撫で方は雑。
でも、悪気はない。
反対に、恵の撫で方はすっごく丁寧。
私を愛してくれているのが伝わる、大好きな撫で方。
高専の皆もそう。
…やっぱり高専大好きだなあ。
そんなことを考えていたそのとき。
ビクッとした、少したどたどしい声。
私はゆっくりと顔をそちらに向ける。
爆豪や麗日の時も思った。
すると緑谷は、
満面の笑みを浮かべながらそう言った。
真っ直ぐすぎるくらいに、眩しい笑顔。
サングラス越しにそれを見るあなたの顔は——
少し、歪んでいた。
でも。
彼らにはそれが見えない。
だから、緑谷は笑顔のまま。
私は小さく息を吐く。
それだけ言って、私は机に突っ伏した。
どこか焦ったような声。
私は顔を伏せたまま答える。
どうしていいか分からない顔。
緑谷は慌てて自分の席に戻った。
私はそっと目を閉じる。
騒がしいのは嫌いじゃない。
高専だって、いつも騒がしいしね。
でも…。
この騒がしさは、少し嫌い。





















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!