今日は6月19日
クソの誕生日らしい 死にたがりの奴には最悪最低の日になるだろう
そんな日には盛大に祝って嫌がらせでもしてやろう
鳴呼、 楽しみだ
日が沈み辺りが暗くなった
探偵社から出てきた太宰は紙袋に沢山のプレゼントを入れ、それを大切そうに抱えていた
「よぉ太宰」
「中也…?」
声をかけるとすぐにこちらの声に反応した
「おう、誕生日はどうだった?」
「嗚呼、 とても素敵な日だったよ」
「…そうか」
「よかったな」
昔からは考えられない言葉
光の方へ行けてよかった
闇から抜け出せてよかった
幸せそうでよかった
「太宰」
「ん?」
「誕生日おめでとう」
「ふふっ...」
「まさか君からそんな言葉が聞けるとはね...」
「ありがとう」
嗚呼、 幸せそうで本当によかった
奴には笑顔がよく似合う
たとえポートマフィアを抜けてきっかけが最悪な出来事だったとしても今の太宰が笑顔でいられるのならば俺はそれでいい思う
「今日の晩飯は蟹のフルコースなんだか…」
「え、!!!」
「それはそういうこと?!」
「さぁ〜どうだかな」
「ほら、帰るぞ」
「もぉ〜」
「中也は全く素直じゃないね」
「仕方ない!私が行ってあげようじゃないか!」
「別に誰も来いとは言ってねぇぞ」
「ん〜聞こえなーい」
前言撤回
やつの幸せなんて絶対願ってやんねぇ
が…仕方ねぇ、今日ぐらい盛大に祝ってやろうじゃねぇか!
誕生日おめでとう、相棒
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!