第30話

さんじゅー.
507
2019/02/14 07:13
どこにいるのか分からない。

連絡の手段がない。






初めに…振り出しに戻った。



会えるかどうかも分からない、
二度と会えないかもしれない、


それでもいつか会えると信じて

今まで探し続けた。






そんな人にやっと会えたのに、

自ら手放した。




カンタに呼び出された俺は、
先に店の中で飲んでいた。




珍しく晩飯のお誘いだった。




カンタ
カンタ
お待たせ
トミー
トミー
おせーよ。

編集してたからさって
言いながら俺の対面に座った。




乾杯をして、
久しぶりに二人で話した。



トミー
トミー
珍しーじゃん。お前から誘ってくるなんて。
カンタ
カンタ
まーたまにはねっ。視聴者さんも心配?してるし。
トミー
トミー
それはご飯がコンビニ弁当ばっかだからだろww


たわいのない話をして、
お酒とツマミを口にする。









カンタ
カンタ
……ところで、もういいの?
トミー
トミー
なにが?
カンタ
カンタ
……あなたちゃん


予想はしてたけど…
やっぱりその話か。



トミー
トミー
もういいってか…探しようがねーじゃん。
カンタ
カンタ
家は?見てみた?
トミー
トミー
見たけどもぬけの殻だった。

あなたの話をする度に、
心が痛む。


俺だって……




カンタ
カンタ
そんなんで諦めんの?
トミー
トミー
じゃあどーしろっての?

少しイラッとして、
口調が荒くなる。

カンタ
カンタ
もしかしたら家無しで、どっか泊まってるかも。確かめてみたら?
トミー
トミー
この県にいるかもわかんねーのに?
カンタ
カンタ
……大丈夫。まだそんなに離れてない気がする。


カンタの勘って、
たまに気持ち悪いくらい当たる。


何もしないよりマシか…





カンタ
カンタ
俺も探してみるよ。
トミー
トミー
なんでそこまですんの?

カンタは少し考えて、
ウーロン茶を飲む。






カンタ
カンタ
んー…どっちも、大事だから


長年連れ添った相方。

何を言わなくても察してくれる、
居心地のいい存在。





あなたがいなくなって3ヶ月経って、
俺の異変に気づき、呼び出したんだろう。






カンタ
カンタ
トミーがそんなんだと、面白い企画持ってこれないじゃん。
トミー
トミー
なんで?
カンタ
カンタ
トミーが元気ないと俺らまで元気なくすもん。せっかくの面白い企画が台無しじゃん。


気持ち悪いこと言ってるって分かってるけど、

なんか心のもやもやが晴れたような気がした。





さすが相方だな。


トミー
トミー
きもいよ!ww

照れ隠しで、
カンタにツッコんだ。





あなたを守るって決めたんだった。


ここでクヨクヨしてらんねーよな。







俺らはいい時間帯まで飲んで、

家に帰った。


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