あのアクシデントから数日。
薫はどこか俺を避けるようになり、気まずい空気のまま夏祭りの季節がやってきた。
境内の提灯が赤々と灯る神社。
クラスの連中に流されるままやってきた俺だったが、人混みの中で制服を着た薫の姿を見つけた。
声をかけようとしたその時、ガラリと空の色が変わり、落雷とともに激しい夕立が降り出した。
屋台の客が一斉に逃げ出し、境内に取り残された俺と薫は、咄嗟に境内の奥にある古い建物へと駆け込んだ。
たたきつけるような雨の音。
狭い庇の下、二人きりの空間に気まずい沈黙が流れる。
滝のような雨に打たれ、薫の制服と中のシャツはすっかり濡れそぼっていた。
薄い生地が肌にぴったりと張り付き、隠しきれなくなった胸の膨らみのラインが、はっきりと露わになっている。
俺の視線に気づいた薫は、濡れた両腕で咄嗟に自分の身体を抱きしめた。
だけど、もう誤魔化せる段階ではなかった。
ぽつりと漏れ出た声。
その声は、いつもの薫とは違っていた。
薫は諦めたように自嘲気味な笑みを浮かべると、雨で濡れた前髪をゆっくりと掻き上げた。
まっすぐ僕の目を見つめ返す、濡れた大きな瞳。
雨の音に混ざって届いた、言葉。
ついに明かされた真実と、目の前で嘘を脱ぎ捨てた少女の美しさに、俺は雨音すら聞こえなくなるほど強く息をのんだ。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。