第30話

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2024/03/12 09:00





お前が、黒木あなたの下の名前?
(なまえ)
あなた
…あなた、誰ですか?
(なまえ)
あなた
どうして、こんなことをするんですか?
(なまえ)
あなた
あなたは何者なのッ…! 




それだけ吐き出すと、息が苦しくなって咽せる。


早く救急車を呼びたいのに、身体が動かない。



なんだ、まだ子供じゃん
(なまえ)
あなた
小塚くんを襲いにきたわけじゃないですよね?
私を、襲いにきた、違いますか?
一気に質問すんな、
俺はとある人に依頼を受けて
お前の「家」を潰しに行くことになっている
(なまえ)
あなた
黒木家が何をしたって言うんですか…。
父がしたことすら娘は知らないのか
(なまえ)
あなた
お父さんが…?




そのとき、男のスマホがバイブする。



私に向けてたナイフを下げて、舌打ちしてから


スマホを取り出す。





…ッチ
(なまえ)
あなた
(早く、私は死んでもいいから)



自分が死ぬことは怖くない。


悲しみは乗り越えられるものだから。



大切な人だったら、尚更乗り越えなくては行けないから。



(なまえ)
あなた
救急お願いします、
14歳、小塚和彦くんが頭部を何者かに殴られました
(なまえ)
あなた
住所は……
なーにしてくれてんの、あなたの下の名前ちゃん
(なまえ)
あなた
…ッッ



彼は私の携帯を奪って、その勢いで地面に叩きつけた。


困惑する救急隊員の声を聞きながら、私は次に何をすればいいのか、


必死に考えていた。


頭を動かせば何とかなると思った。


いつの日か、上杉さんがしていたように。


(なまえ)
あなた
御免なさい、私はどうなってもいいから
(なまえ)
あなた
彼を助けて…?
いい顔だ、俺の思った通り売れそうだな…。
(なまえ)
あなた



耳から入ってくる情報の全てを、

目から入ってくる情報の全てを、


頭が処理してくれなかった。



ただ、彼が最悪の事態にならなければいいと思った。


私は、どうなってでも彼を助けたかった。



本当にどうなってもいいのか?
(なまえ)
あなた
私を殺してもいいから
彼を助けてください…。
(なまえ)
あなた
お願い、します



それだけ頼むくらい、私は小塚くんが大切だった。


多分小塚くんに惚れていた。


世間一般で言う、 恋 だった。 


































口を開こうとした男が、


目の前で消えるのが見えた。


その後に風が来て、目の前に力強い背中が見えた。









上杉和典
上杉和典
お前が死んでいいわけないだろッ
(なまえ)
あなた
上杉…さん?
上杉和典
上杉和典
あなたの下の名前、何があったかは後でいい
上杉和典
上杉和典
今はこの男を処理すればいいから
…お前、誰だ?
上杉和典
上杉和典
名乗るほどじゃねーぜ
俺の邪魔をするなァ!



男と上杉さんの乱闘が始まる。


けれど圧倒的に上杉さんの有利で、


最後は左ストレートで綺麗に拳が入った。



男が倒れるのが見えた。


その後ろから、赤く光るライトも見えた。




(なまえ)
あなた
和典くん…
上杉和典
上杉和典
あなたのニックネーム、大丈夫か
(なまえ)
あなた
救急車が来たよ…
(なまえ)
あなた
救急車が、来た…ね



視界が水でぼやけた私と、


それを拭ってくれる和典くんと、

一緒に、


救急車に乗せられていく小塚くんをみていた。














小塚くんがどうなってしまうのか…。


書いてる私もワクワクしています…!



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