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第3話

守るよ、絶対に
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2023/05/21 16:02 更新
 浅羽は左胸のポケットからスマホを取り出す。スマホの通知を確認してから、小走りで雫の家へと向かった。

――雫は一人できっと不安にしているはずだ。

 雫の部屋には電気が灯っていて、家に帰ってきていることを示していた。浅羽がスマホでどこかへと電話を掛け始める。
浅羽
もしもし? 今、家かな? すぐ来たんだけど
 小走りで走ったせいか、浅羽の息は荒く乱れていた。はぁはぁと呼吸音を鳴らしながら、電話の相手へと話しかける。

 慣れたように雫の部屋へと浅羽が足を進めれば、扉が勢いよく開き雫が飛び出してきた。
須藤くん! 怖かったよぉ
 肩を震わせながら、雫が須藤浅羽の腕の中に収まる。きゅっと抱きついた雫の肩を抱きしめ返しながら、部屋の中へと移動した。
須藤浅羽
だから、夜中は呼べって言っただろう
まだ大丈夫かなって、思ってたんだもん
 瞳に涙を溜めた状態で雫は須藤を見上げてから、指で涙を拭い取った。
でも、やっぱり須藤くんは私のヒーローだね
須藤浅羽
なんだよ、急に
前もストーカーに会ってる時、ずっと一緒に居てくれて。いつのまにかストーカー居なくなったじゃん。あの時から、須藤くんのことが好きなんだよ私
――昔の記憶だ。あの時はストーカーなんて本当は居なかったことを、雫はきっと一生知ることはない。俺も言うつもりも、ないが。

 きゅっと強く抱きつきながら、雫は須藤の肩に顔を埋めた。それを見た須藤も嬉しそうに雫の頭を撫でる。
須藤くんが来てくれたから、もう安心だね
須藤浅羽
いつだって、俺が守るよ雫ちゃんのこと
えへへ、なんか照れちゃうな
須藤浅羽
今日は泊まって行っていい? 一人じゃ、不安だろうし
うん、お願いしたい。本当にごめんね仕事だって忙しいだろうに
──雫より大切なことなんてない。いつだって雫のことしか考えてないんだから。

 心の中で呟きながら、須藤は雫の髪の毛に優しいキスを落とした。

<了>

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