いよいよ、当日。
普段はしない髪のゆる巻きに、買ったばかりの服と靴。少しでも可愛いって思われたくて、この日のために頑張った。メイクもいつもより慎重に。
M!LKのイベントに行く時よりも気合いを入れた。
いくら友人関係とはいえ人目を避けたいから佐野くんの運転でなるべく遠くに行くことに。車もわざわざレンタカーにして。
何度も何度も鏡でチェックをして、佐野くんが到着するのを待つ。この時間がいちばん緊張する。
深呼吸をしていたらピコン、と1件の通知。
すぐ既読をつけ、外に飛び出す。
佐野「ごめん、お待たせ」
あなたの名字『ううん、丁度準備終わったとこだった』
佐野「そっか」
「じゃあ、行くか」
あなたの名字『お願いします』
緊張が解けないまま助手席へと乗り込む。
少し変装しているけど隠しきれてないカッコ良さで心臓に悪い。私の好きなオールバックだし…
佐野「……今日のカッコ、さ」
あなたの名字『は、はい!』
佐野「めちゃくちゃ、可愛い…と思いマス」
「今日の為って思っても、いい?」
あなたの名字『へ…⸝⸝⸝』
『…今日の為に、いっぱい、頑張った。ありがとう⸝⸝』
佐野「あー…今日これ独り占めできるの、最高かも」
あなたの名字『さ、佐野くん?⸝⸝』
ハンドルに両腕を乗せ、さっきまでかけてたサングラスを上げてこちらを見てくる。
嬉しそうって、私もわかるくらいの表情だった。
佐野「俺、今超浮かれてる」
「なんか変だったらごめん」
あなたの名字『いや、そんな…!私こそ、変な反応とかしたら、ごめん』
佐野「あなたちゃんはそのままでいいよ 笑」
そのまま車は発進した。
遠いから寝てもいいよって言われたけれど、寝れる状況じゃない。頭の中が今の現状と佐野くんの事でいっぱいになる。
佐野「あ、ドリンクホルダーにあるやつ、飲んで」
あなたの名字『え、いいの?』
佐野「あなたちゃん飲むかなって買っといたから」
あなたの名字『ありがと…』
佐野「寒かったりしたら暖房調整して」
「あとどっか寄りたかったら遠慮しないでね」
あなたの名字『うん、何から何までありがとう』
佐野「いーえ」
完璧すぎて逆に申し訳なくなってくる。
私の好きな飲み物だし、こういう所が周りに好かれる理由なんだろうな…と思う。遠回しな気遣いじゃなくて、真っ直ぐ来てくれるとこ。
あなたの名字『ちなみに、どこに行くの…?』
佐野「着いてからのお楽しみ」
少し遠い、とは聞いてたけど詳細は全く知らない。
しかもだいぶ朝早くから動いているから、肌寒いまである気温だ。
あなたの名字『外出て大丈夫?』
佐野「バレなきゃ」
あなたの名字『怖いなぁ…』
佐野「大丈夫だって 笑」
今や佐野くんは大スター。
バレないっていう方が難しい。こんなにかっこいいんだもん。…横顔、めちゃくちゃ綺麗だな
体格に対して小さすぎる顔、大きくて男の人らしい手。肘をついてる状態が更に色気を増してる気がする
佐野「なぁに」
あなたの名字『あ、ごめん、』
佐野「いいけど。俺の顔変だった?」
あなたの名字『いや…改めて綺麗だなぁと… ⸝⸝』
佐野「あなたちゃんもでしょ」
あなたの名字『え?』
佐野「あなたちゃんも。綺麗」
そんなサラッと言うことある…!?
急すぎて『ぇ、ぁ』と変な声を出してしまった。なんというか、今日の佐野くん変だ
可愛いとか、綺麗とか、おかしい。
あなたの名字『ありがとう、ゴザイマス……』
佐野「なんでそんなカタコトなの 笑」
顔も見れず、曖昧な返事をしながら外を眺める。
一体、今日はどうなってしまうんだろうか
🩷
夜遅く更新すみません!!!
♡ & ☆ & F
お願いします🙏🏻











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。