第30話

気付いていない
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2022/02/05 15:37 更新
あなた・ガルシア
ッ……、
エース・トラッポラ
エース・トラッポラ
おいアーク?
お前顔色悪いぞ。
あなた・ガルシア
ぃゃ……大したことない。それより……。




レオナ先輩の過去______。




どんなに努力しても、どんなに強く賢くなったとしても。





私は______あの人アークには絶対に敵わない。





お義母様の寵愛を受けることは、叶わない。








結構くるものがあった。





同じような境遇______。






でも……。




エース・トラッポラ
エース・トラッポラ
っお、目ぇ覚ましたみたいだ。
グリム
グリム
やった起きた!
ずっと気絶したままだったらどうしようかと思ったんだゾ。
グリム
グリム
さっ、早く今までの時間は自分が企てましたと自白しろ!
レオナ・キングスカラー
レオナ・キングスカラー
なに……なんだって?




体を起こして、頭を抱えたレオナ先輩。



そこにリリア先輩に言われて駆けつけた学園長が現れた。



ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
キングスカラーくん。
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
貴方はブロットの負のエネルギーに取り込まれて暴走し、オーバーブロットしてしまったのです。
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
覚えていませんか?
レオナ・キングスカラー
レオナ・キングスカラー
この俺が暴走して……オーバーブロット?
嘘だろ……。
グリム
グリム
そんなことより!
マジカルシフト大会がもう始まっちまう!
グリム
グリム
お前が自白してくれねぇと、俺様がご褒美に試合に出してもらえねぇんだゾ!
レオナ・キングスカラー
レオナ・キングスカラー
あァ……?なんだそりゃ。
ジャック・ハウル
ジャック・ハウル
こいつら、学園長にマジカルシフト大会に出してもらうことを条件に先輩達を追ってたんス。
ラギー・ブッチ
ラギー・ブッチ
えぇ、そんな事のためにッスか?




呆れたように口をあんぐりと開けたラギー先輩に、グリムが眉間に皺を寄せる。




グリム
グリム
そんな事ぉ!?だったらオマエらだって、そんな事のために怪我人まだ出してたんだゾ。
ラギー・ブッチ
ラギー・ブッチ
うっ、そ、それは……そうッスけど。
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
今までの連続傷害事件は、君たちがやっていたという事で間違いありませんね?
レオナ・キングスカラー
レオナ・キングスカラー
…………ハァ、
あなた・ガルシア
______、!






ちらりと、こちらを見たような気がした。





レオナ・キングスカラー
レオナ・キングスカラー
あぁ、そうだ。
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
……わかりました。
ではまず、君達サバナクロー寮は今回の大会を失格とします。そして今後の処分については被害者の皆さんと話し合った上で決定します。
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
いいですね?
レオナ・キングスカラー
レオナ・キングスカラー
……わかった。
ラギー・ブッチ
ラギー・ブッチ
…………………。
あなた・ガルシア
______あの、
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
?アークガルシアくん……なんでしょうか。






そりゃ、許されないことしただろうよ。



レオナ先輩も、それに従ったラギー先輩も。




でも……でも、多分……。





私と同じ、兄への劣等感に脅かされている彼を……放っておけなかった。






スッと学園長とレオナ先輩の間に入り、学園長の顔をじっと見つめる。




あなた・ガルシア
どうか……お願いです。
大会に出場させてあげてください。
レオナ・キングスカラー
レオナ・キングスカラー
……!!?
ラギー・ブッチ
ラギー・ブッチ
え、えぇ!?
グリム
グリム
なっ、何言ってんだゾ、アーク!
監督生
監督生
アークくん……。
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
…………理由は?
あなた・ガルシア
……俺個人のお願いです。
このまま出場出来ないのは……、
あなた・ガルシア
勝手言ってるのは分かってます。
俺は被害にあった訳でもないし、ましてやそれを許す権利もない。
あなた・ガルシア
だけど……。




この人の中に入って、分かった。



このやるせない想い……大会に出られなければ、もっと辛くなる。苦しくなる。





ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
しかしねぇ……。
リドル・ローズハート
リドル・ローズハート
学園長。






頭を抱えて唸り始めた学園長に、リドル寮長が声をかける。



そして、その後ろにずらっと並んだ人影に驚いた。





ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
ローズハートくん?
それに……皆さんは、確か。
リドル・ローズハート
リドル・ローズハート
はい。彼らは、今回の事件の被害者です。
トレイ・クローバー
トレイ・クローバー
学園長、俺たち被害者全員からお願いがあります。
トレイ・クローバー
トレイ・クローバー
今回の大会、どうかサバナクロー寮を失格にせず、出場させてくれませんか?
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
なんですって?
つまり……彼らを許す、と?




え……なんで、





ラギー・ブッチ
ラギー・ブッチ
アンタたち……。
ジャミル・バイパー
ジャミル・バイパー
いいや。許す訳じゃない。



……ん?



トレイ・クローバー
トレイ・クローバー
サバナクロー寮に欠場されると、気兼ねなく仕返しできないからなぁ。
ラギー・ブッチ
ラギー・ブッチ
え、ええっ!?
ジャック・ハウル
ジャック・ハウル
「仕返し」だと……!?
リドル・ローズハート
リドル・ローズハート
学園内で魔法による私闘は禁止されているからね。
トレイ・クローバー
トレイ・クローバー
マジカルシフトなら、れっきとしたスポーツだろ?





そう言って、悪い顔で笑うトレイ先輩。



そうか……だから、





トレイ・クローバー
トレイ・クローバー
ただし、別名・魔法力を全開で戦う
フィールドの格闘技……だけどな。
mob
ああ。お前たちに一発お見舞いしてやらねぇと気が済まねぇ。
mob
いざ決闘だ!手袋を開いたまえ!
ジャミル・バイパー
ジャミル・バイパー
何があったかは知らないが、サバナクロー寮生の方が俺たちよりボロボロみたいだしな。
トレイ・クローバー
トレイ・クローバー
犯人が誰か分かった以上、むしろ俺たちが恨みを晴らすのにマジカルシフト大会は好都合、ってこと。
ケイト・ダイヤモンド
ケイト・ダイヤモンド
レオナくん、前に自分で言ってたじゃん?
試合中の攻撃は、校則違反じゃないって。
リドル・ローズハート
リドル・ローズハート
伝統ある競技で私怨を晴らすだなんて
普段なら首を刎ねてしまいたいところだけど。
リドル・ローズハート
リドル・ローズハート
トレイたちがどうしてもと言うからね。
今回だけは目を瞑ろう。
リドル・ローズハート
リドル・ローズハート
それに……ウチのルーキーもそれをお望みのようだ。
あなた・ガルシア
……!
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
君たちの気持ちは分かりました。
それに、ガルシアくんには先ほどの騒動を落ち着かせた功績もありますし……。
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
しかし、この状態でサバナクロー寮生たちが試合に出られるかどうか。
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
特にキングスカラーくんは、立っているのもやっとの状態では、?
レオナ・キングスカラー
レオナ・キングスカラー
ふ…………ふ、はははは!
ナメるなよ、クロウリー。
レオナ・キングスカラー
レオナ・キングスカラー
手負いの草食動物を仕留めるなんて、昼寝しながらだってできる。
ジャミル・バイパー
ジャミル・バイパー
ふん、言ってくれるな。
レオナ・キングスカラー
レオナ・キングスカラー
俺は謝るつもりは毛頭ないぜ。
この俺に謝らせたいやつは力尽くで謝らせてみろ。





うんまぁ、だろうな。






トレイ・クローバー
トレイ・クローバー
って訳で、学園長。
いいですよね?
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
まったく。
感動的な話かと思って期待した私が馬鹿でした。
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
いいでしょう。
予定通りサバナクロー寮の大会出場を許可します。
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
まぁ学園としても大会当日にこのような不祥事が世界中に生中継されるのは避けたいところですしね。
監督生
監督生
わ、悪い人だ……。
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
ンンゴホンッ!
さぁ、観客の皆さんが選手の入場を待ち侘びていますよ。早く準備を。
レオナ・キングスカラー
レオナ・キングスカラー
じゃあ、行くか…………っ、ぐ、痛ぅ______っ、、
あなた・ガルシア
〜っぅ、あ!?





立ち上がったレオナ先輩はすぐにふらつき、丁度前に立っていた私の背中に倒れ込む。





レオナ・キングスカラー
レオナ・キングスカラー
……すまねェ後で話がある。大会が終わったらウチの寮に来い。
あなた・ガルシア
______、!





倒れたのは演技……?



いや、辛そうなのは確かか。






グイッ



あなた・ガルシア
っふ、お……!?

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