数学を教え始めて1時間弱。
あげどり、だいぶ飲み込み早くて少し教えればすぐ問題解けちゃうレベル。
多分、地頭はいいんだろうけど授業全然聞かないで寝たりスマホ見たりしてるから追いつけてないだけだ、きっと。
黙々と問題を解いていくあげどりを横目に私も自分の勉強を進めていく。
あげどりが行き詰まってそうなら少しアドバイスすればあげどりはまた解き直す。
頼んだアイスのカフェラテを飲みながら重要単語を頭に叩き込んでいく。
私は、勉強は嫌いじゃないけど効率のいい勉強の仕方がどうも向いてないから、遠回りなことを地道にやるしかない。
多分これが、私にいちばん向いてるから。
そういうとあげどりは黙って。
とにかくキリいいところまでといて頭に叩き込む。
同じようなことを聞かれた時に考えずとも手が勝手に動くほどに叩き込む。
ノートと問題集を行ったり来たりして没頭していると、痺れを切らしたのかあげどりが顔を覗き込んできた。
そう言って、キリいいところまで終わってはいるものの、自分からは閉じれなかったノートと問題集をあげどりはいとも簡単に閉じてしまった。
そして私の頬に両手を添えて優しく引っ張ってきた
そう言って微笑むあげどりの顔が、今は、今だけはなんだか、いつも以上に整って眩しく見えた。
なんて言ってメニューを広げて見せてくるあげどり。
確かに、シンプルなのもあればホイップが乗ってるもの、チョコソースが乗ってるもの、フルーツが乗ってるもの。
色んなパンケーキがメニュー表には並んでいて。
今日のあげどりは、どこかいつもと違う。
すぐはぐらかすし。かと思えばサラッとかわいいとか言ってくるし。
いつも以上に、私を気にかけてる感じがするし。
理解が追いつかないほどのあげどりの行動に、私の心臓は少し早く脈打っていた。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。