第27話

合格祝い🐶✖️🐰
1,649
2025/03/14 21:50 更新
LK
LK
風呂沸いてるから。
入ってくれば?
SM
SM
あ、うん。
そう促されるまま脱衣場に着替えを持って足を踏み入れる。
部屋の片隅に立てかけられた虫取り網をみて、ふっと笑いを漏らす。
僕がいなくなってから、ヒョンの天敵をこうやって一人で退治しようとしてるんだと思うと、
愛らしくて胸がきゅうっとなる。
少なくとも、僕以外の誰かに頼ってるということはないんだろうか。
ヨンボギヒョンと定期的に連絡を取って、何か実家やリノヒョンに変わったことがないかは聞いていて、
この家に足を踏み入れて猫以外変わったところはなくて、正直少し安心した。

でも、久しぶりに会ったヒョンは、綺麗なままで、その魅力がどんどん増してきているような気がして、
会ったら会ったで気が気じゃなくなってしまった。
FL
FL
『そんなに心配しなくても大丈夫だよ?
スンミナだって、あの人の鈍感さと不器用さは知ってるでしょ?』
そう電話口で何度もヨンボギヒョンに呆れられた。
ヒョンの性格は僕も嫌と言うほど分かってる。
そして、あの人の愛情深さも。
何やかんや僕やイエナを受け入れてしまったように、
ふと誰かに攫われてしまわないか、それが心配なんだ。
SM
SM
ヒョン、ありがとう。
あがったよ。
LK
LK
ん。
SM
SM
洗い物、僕やるからヒョンも入ってきたら?
LK
LK
んー、さんきゅ。
そう台所に立って、手を拭いてるヒョンの後ろに立つと、ヒョンの香りがする。
それに誘われるように、頭部に鼻を寄せると、身を捩られる。
LK
LK
こら、やめろよ。
SM
SM
んー…。
離れたくなくて、ヒョンのお腹に両手を回す。
ヒョンは身動きが取れなくて、僕の腕の中で少し焦っている。
SM
SM
よかった。
この家に猫ちゃんしかいなくて。
LK
LK
…ヨンボギにも聞いたけど、俺が動物園にでもすると思ったわけ?
SM
SM
動物だったらいいけど。
さすがに僕の寝る場所は残しておいてほしいけどね。
両手に力を込めて、ヒョンの頭皮に鼻先を埋める。
シャンプーと汗が混ざったヒョンの香りに頭がくらくらする。
SM
SM
挫折した、マッチョな医者が一緒に住んでたら、どうしようかと思った。
LK
LK
…チャニヒョンのこと?
アイツは挫折してのこのこと帰ってくるタマじゃねぇよ。
そうだよね、だからヒョンが惹かれたんだよね。
だから僕も、ヒョンに見合う男に、ヒョンが魅力的だと思ってくれる男になるために、僕は今必死にもがいてる最中だ。
でも、それには道のりが長くて途方に暮れそうになる。
SM
SM
…ヒョン、合格祝いちょうだい。
LK
LK
いまさら?
お前、あれだけ春に欲しいものないのか、って聞いたとき、いらないって言ったじゃねぇか。
大学は国立、生活費もなるべくかからないように、他の生徒が嫌がるくらいのボロな寮で、夕飯込みでお世話になっているものの、
やっぱり生活してるとそれなりのお金はかかる。
奨学金やバイトで賄ってるが、引越し代金や寮代などはヒョンが負担してくれてる。
だから、そんなお祝いなどはいらないと伝えたのだが、
いまさら欲しいと言う僕に、ヒョンが戸惑う。
SM
SM
ものじゃない。
ヒョンが欲しい。
ヒョンが大きな目をさらに大きく見開く。
直後に呆れたようにため息をついた。
LK
LK
…たよれる男になってから、じゃなかったの?
SM
SM
ぅん…。
自分でも、昔言った言葉を覆すなんてかっこ悪いことは自覚している。
でもダメだ。
離れてるだけで、こんなに不安になるとは思わなかった。
ヒョンがチャニヒョンと付き合ってるときも苦しい思いなんて何度もしてきた。
ヒョンが少しおしゃれして出掛けていくたびに、胸が締め付けられる思いをした。
それでも、まだ近くにいて自分の目で確かめられただけマシだった。
SM
SM
かっこ悪い、のはわかってる。
でも、ヒョンが好き。
ヒョンが欲しい。
LK
LK
…こんなおじさんの、どこがいいんだよ。
全部だよ。
だって僕は意識がはっきりしてから、ずっとヒョンに恋してきた。
そりゃ、幼い頃にヒョンに意地悪された時はこの野郎って思ったし、
反抗期でしょうもないことで突っかかったことも数え切れないくらいあったけど、
それでもヒョンが大好きで、恋愛が何かを自覚する前から、ヒョンのことが好きだった。
SM
SM
ヒョンは、おじさんなんかじゃないよ。
むしろちょっとおじさんになってくれてもいいくらいなんだけど。
LK
LK
何それ。
SM
SM
ずっと、ヒョンが好き。
ヒョンはかっこよくて、魅力的で、可愛くて、まぁたまに意地悪で変なとこもあるけど。
LK
LK
褒めてんの?ディスってんの?
…って、ちょ、こらっ…!
ヒョンのお腹に回していた片手を、すっとTシャツの中に滑り込ませると、ヒョンが慌てる。
ジタバタされて、振り解かれそうな腕に、ありったけの力を込める。
LK
LK
こんなとこっ…、やだっ…!
SM
SM
…なんで?
LK
LK
だって…、お前はいないかもだけど…、俺はずっとここで暮らしてるんだぞ。
言葉の意味が理解できなくて、埋めていたヒョンの頭部から顔を離すと、
ヒョンの耳が真っ赤になっているのに気付く。

こんなところで、色々されたら、普段一人で暮らしてても僕としたことを思い出しちゃうかもしれない、ってこと?
SM
SM
…何それ、可愛すぎる。
この人はもう少し男心を学んだほうがいいような気がする。
むしろ、そんなことを言ったら煽るだけだ。
LK
LK
あと、普通に汗臭いからっ!
SM
SM
…じゃあ、シャワー浴びてきて。
僕の部屋で待ってるから。
LK
LK
…ん。
一応了承はもらったということなんだろうか。
悶々としたまま皿洗いをしてたら、危うく皿を2枚ほど割りかけて、焦った。

プリ小説オーディオドラマ