第10話

9話
291
2019/05/28 12:36
体育館倉庫の掃除から数日経った。
ななもりさんは、廊下で会ってもニコニコと笑いながらの対応だった。

ブー

スマホを見るとななもりさんからLINEがきていた。

(今日俺の家来て)

断りを入れないような文。
一緒に送られてきた笑っている猫のスタンプは、目だけ笑っていないななもりさんを想像させる。
とりあえず返信しないと。
悩んだすえシンプルな文を送ることにした。

(わかりました。)

送信ボタンを押すときころんくんが覗き込んできた。

こ「なーくんと遊ぶの?」

遊ぶと言うよりかは取り調べもどきだろうな。

「まあ、そんな感じ。」

するところんくんは私のスマホを取り上げた。

こ「やめときなよ。」

ころんくんは少し怒ったような悲しいようなそんな顔をしていたが、早く返信しないと後が怖い!

「ころんくんは関係ないでしょ!
早く返してよ!!」

こ「じゃあ、僕も行く!」

もし、ころんくんを連れていく場合ななもりさんはあの話をするだろうか。
なんとなくだがしない気がする。体育館倉庫の時もころんくんたちのことを避けながら話してたもの!
ころんくんとずっと一緒だったら世間話で終わる気がする。

「いいよ。一緒行こ。」

思わず笑みがこぼれる。

こ「じゃ、返信しとくわ。」

ころんくんも元の表情に戻り、LINEの返信をする。
ななもりさんには悪いけどあの子とのことは墓場まで持っていくそれが私の役目だもの。

こ「にしても、なーくんと連絡先交換してたんだ?」

「うん、この前莉犬くんとななもりさんとね。」

こ「へー、へー!」

あからさまに不機嫌な態度をとるころんくん。
ずいぶんと面倒くさい性格してるのね。

「ねぇ、ころんくん連絡先交換しない?」

こ「いいよぉ。」

なんとかころんくんの機嫌も直してもらった。
今日は午前だけ。残りの授業数も2個。
少し緊張してきた。


授業が終わり、ころんくんと一緒に校門に行くとななもりさんがいた。
ニコニコと友達に手を振っている。

こ「なーくん。」

ななもりさんはそのニコニコ顔のままこっちを振り返る。

な「2人ともお疲れ様。」

こ「なんか食べてこ。僕お腹へったー。」

ころんくん能天気だな。

不覚にもななもりさんと目が合う。
すると一瞬だけ睨まれた。
思わず固まる。

な「どこ行く?やっぱりラーメン?」

ころんくんに向ける表情との差がすごい。
この人結構猫かぶってんのかもしれない。

こ「ほたるはどこ行きたい?」

「どこでもいいよ。」

ななもりさんといたら怖くて味わかんないだろうしな。







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