ある日ぽっちゃり猫を助けたら
よその世界の執事の主になった
これは 私と執事たちのお話
今日も今日とてバスティンと私を交えた
2階パワー組と別邸若者組での模擬戦中
私を探しにきたミヤジと地下に行けば
すっかり開放されて
自由に入れるようになった隠し部屋で
ルカスとベリアンに告げられた内容に首を傾げた。
もう隠してないから隠し部屋じゃないか。
部屋の中には
相変わらず椅子に座ったままのベレンがいて
みんなが転ばないように明かりも灯されていた。
ここの呼び名、ベレンの部屋でいいんじゃないか?
ベレンはベリアン以外のこと知らないのに
果たして私を受け入れるのだろうか?
楽しそうなルカスを
ミヤジが眉を寄せて小突いてるのをよそに
椅子に座っているベレンを覗き込む。
相変わらずまばたきもしないで人形みたいだ。
近距離でバチンとベレンの目の前で手を叩けば
ベリアンにすごい勢いで首根っこを掴まれた。
ビンタすると思ったのなら心外だ。
なるほど、
ほんとに悪魔化を遅くしてるだけで
ベレンの時は止まってないんだな。
わくわくしてるルカスはさておき、
私とベレンの前に立ち塞がってるベリアンは
私を若干疑わしそうに見ている。
いい大人なんだし子どものいたずら位許せ。
よし、医者のOKも出たな!
よいしょ、と向かい合うようにベレンの膝に座って
焦点のあわないベレンの瞳を覗き込む。
ほっぺをペチペチ叩きながら首を傾げれば
一瞬意識を引っ張られるような感覚を感じて
隣でオロオロしているベリアンの手を掴んだ。
ぐらりと視界が揺れるような暗転に
ぐんと足の力をいれる。
急に足に地がついた感覚に目を開ければ
ついこの間行ったような暗い空間に立っていた。
隣を見れば、手を繋いだベリアンが軽く頭を振って
ゆっくり辺りを見回した。
バスティンやハウレスたちのように
本人の影もいないし、ラトみたいにモヤの塊もない。
ほんとに何もいない空間に首を傾げた。
ベリアンが呼びかけてみても反応はなく
ただ静かな空間が広がっているだけだ。
そういえばいつも見えるその人の記憶もない。
次来る時はムーを連れてきてみるか
フラグ!と喜んできそうなムーを思い浮かべて
渋るベリアンにえいっと抱きついた。
目の前には心配そうに覗き込んでいるミヤジ。
ゆっくり体を起こしたベリアンを支えながら
ルカスがどうだった?と口を開いた。
ん、やっぱりベレンの膝の上にいて正解だったな
ふぁ・・と、欠伸をしながらベレンに寄りかかれば
頭越しにゆっくり心臓の音が聞こえる。
ルカスやミヤジが
ベリアンと次の作戦を考えてる間
なんとはなしに上にある顔を見上げれば
一瞬だけ目があった気がした。
ミヤジのロノ、の単語に
ベリアンがぴくりと反応する。
先に準備に行くと出ていったベリアンに
残ったミヤジ、ルカスを見上げた。
ぼそっと呟いたら
ミヤジとルカスに苦笑いされた。
ミヤジとルカスも思うところがあるとのことで
次の日珍しく庭に全執事がジャージ集合した。
ん、私なにも言ってないけどな!
ルカスとミヤジの説明に
やる気満々の別邸組(1名除く)と2階組
1階組と3階組がそれぞれの反応を返す。
今回はラトが悪魔化したばかりだから
地下組はドクターストップだ。
ハナマルとかボスキとか、
若干数名面倒くさそうな反応があったけれど
概ねやる気に満ちたチーム戦が始まった。
・・・・・のだけれど。
執事合宿の時よりも
明らかにチーム戦が上達した別邸組と
アモンをフォローしながら攻撃的に囲む2階組、
そして喧嘩しつつも連携バッチリの3階組に対し
1階組はまさかの全敗だ。
あんまり戦闘の依頼に来ないとは言え
バスティンもロノもベリアンも、
個人のレベルは高いはずなんだけども。
1階組は数少ない常識人メンバー組なのに。
ほら他の階こんなんばっかだし
全身で褒めてくれと書いてある誰かさんたちに
偶然ポケットに入ってた飴ちゃんを渡す。
ラト用に見つけたパセリ味だった気もするけれど
まぁ売られていた飴ちゃんだから食えるだろう。
肩で息をしているバスティンにもひとつあげて、
微妙な距離感で立っていたベリアンとロノを見上げた。
ハナマル真面目にやらなかったからな
ついでに罰ゲームだ
パセリ味の飴ちゃんを
物欲しそうに見ているラトにもあげて
思春期の親子みたいな距離感のベリアンたちを見送った。
(ラト、その飴うまいか?)
(はい、パセリそのもので苦くて甘いです)
(・・・・・それ、美味しいんですか?)
(ほらムー、あーん)
(むぐ・・・・・ぶふっ・・?!?!)
ベレンを手荒にして欲しくないベリアン
主様が模擬戦入ると話が完結してしまうので
介入は監獄まで我慢です・・・












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!