第65話

私と監獄調査
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2025/06/22 09:00 更新




ある日ぽっちゃり猫を助けたら




よその世界の執事の主になった











これは 私と執事たちのお話





















あなた
よっ!おはようロノっ




ロノ
うぷっ・・・・・・っ





ポンと朝の爽やかな挨拶をすれば

青白い顔をしたロノが私の顔をみて口を押さえた。






朝からめちゃくちゃ失礼なやつである。
















あなた
おい人の顔見て吐こうとするな
執事以前にレディに対して失礼だろ




ロノ
すっ・・すみません・・っ
あなた様の顔見たら昨日の焼酎攻めを思い出して・・





うむ、だろうな


まぁベリアンは真っ白い顔でいつもの笑顔を作っていたが










わざわざ朝食前の朝運動をやめて厨房にきたのだ。


焼酎を強制的に献上させられて

鬱憤晴らしに朝トレに参加しているハナマルの為にも

ちゃんと昨日のことを聞かなければな。







あなた
で、ちゃんと話をしたか?





朝ごはん用の野菜をトントンと

リズムよく響いていた包丁の音が一瞬ブレた。







ロノ
し、しましたよ・・・?ハナマルさんの焼酎にあうおつまみとか、今週の天気とか・・


あなた
思春期男子と父親かっ






お酒の力を借りれば何とかなるって

ハナマル言ってたけど、全然だな!





まぁそんなとこだろうと思ったけども。





微妙に視線を逸らすロノに、

ルカスからの伝言を伝えた。



























あなた
ん、つい最近来た気もするけど
ひさしぶりに感じるな、明々の街も



バスティン
あなた様、あそこに美味そうな屋台がある




ゆっくり数日かけて来た明々の街に降り立ち

ぐぐっと固まった背筋を伸ばす。



ちゃんとした街道で、馬車で来たから

前回来た時よりも疲れてはいないけれど

邸を出発してから時間が経っていて体が鈍りそうだ。






ゴエティア様の鍵の秘密を探りに

再び明々の街に来たのは

私とムーと1階組、地下組のメンツ。




災禍の監獄を調べる為という名目だけれど

ルカスからの、

ベリアンとロノなんとかしてこい圧が凄かった。






ロノ
おいバスティン!
街の観光は監獄調査のあとだぞ!


ベリアン
ふふっ、そうですね
バスティンくんあとで何か美味しいもの探しましょう
バスティン
・・・・・・









フルーレ
・・・・・・・・うわぁ
あなた
ふたりともバスティン越しに会話してるな




ラト
あ、あなた様、フルーレ、
あそこに猫がいますよ♪




会話はしているけども

バスティンに話しかける感じなベリアンたちに

フルーレと隠さずにドン引きする。


我関せずなラトは

引率者のミヤジにそっと襟首を押さえられていた。









ベリアン
ここですね・・・・
グロバナー家の調査は終わっているそうなので自由にみていいそうですよ
ミヤジ
そうだな、こどもたちも保護したし資料も押収したみたいだから、今は我々しかいない




フルーレ
でもグロバナー家の調査隊が入ったんですよね?もう何もないんじゃ・・
ミヤジ
ふむ、確証はないが私たちが探しているのは資料ではなく建物の秘密だからね・・・視点が変われば見えるものも変わるだろう




あなた
よし、さくさく探索して終わらそー






各々解散して監獄内を探索する。



ベリアンと上の階から部屋を見てまわるが

広い研究室がいくつかあるだけで

特に面白そうなものも変なものもなかった。



フルーレが監獄の見取り図を描いたけれど

広い部屋がいくつかあるだけで

秘密の部屋とかそんな空間もなさそうだ。





ベリアン
ひと通り見ましたが、おかしなところも鍵の使えそうなところもありませんね・・・・


フルーレ
はい、大きな部屋がいくつかあって特に気になるところはないですね・・・
ミヤジ
ふむ、手狭になって増築したわけではなさそうだな





真面目に話し合っているベリアンたちを

バスティンと肉まんを食べながら眺める。


ベリアンたちが間取りをおかしいと思わないなら

私たちにはわからないからな。




バスティンが半分こしてくれた最後のいっこを

はぐっと口にいれて首を傾げた。








あなた
王道で行くならどこかに地下への階段があるんだけどな・・・?あとラトはどこ行った?




フルーレ
ラトー!!?




なんかデジャブだな?




ハッと顔をあげたフルーレがラトを探しに行って

1階のほうから再びフルーレの叫び声がする。



フルーレ、

ラトが戻ってきてから積極的だし元気だ。







フルーレを追って1階の部屋に入れば

部屋の真ん中でラトが大の字になっていて

なんか楽しいものがあるのだろうかと横にしゃがみ込んだ。





あなた
ラト、何してるんだ?




フルーレ
えっ、ラト生きてるの?!
あなた
え、死んでたのか?




ラト
下で音が聞こえた気がしたんですが・・・
あなた様、私の悪魔の力を解放してください
ミヤジ
ラトくん、




あわあわしているフルーレに首を傾げると

もぞもぞ足元で動いたラトが私の足首を掴む。



ラト、踏んじゃうぞと見下ろせば

ミヤジがそっとラトの手を掴んで降ろさせた。












あなた
・・・おぉ・・・・・・




カツーンとホールのように響く地下空間。




ラトの能力で発見した地下階段を降りて広がっていたのは

ダンスホールみたいな大きな空間で

生き物の気配もない、

不思議な広間に私の声が響く。





床にはまっていた巨大なマンホールみたいのが

古の塔の材質に似てるだとか

結局ゴエティア様の鍵がはまるところはないだとか

なんだか発見してるようだけれど

結局何もわからないまま地下から戻ってきたのだ。




ミヤジの発案で、

裏切り者がいる可能性を考え

今回の地下空間のことは

フィンレイにも内緒にしておくらしい。






あなた
・・・・これであっちに筒抜けなら身内の仕業に確定してしまうけどな




みんなが監獄の入り口から出ていくのを見ながら

ぼそりと呟けば、耳のいいラトだけが振り返る。



しーっと指を口に当てれば

きょとんとしたあと笑みの形に目が細められて

横に並んだ私の手を取った。







そうして監獄の入り口を出た時だった。












バスティン
ロノさがれっ!!






バスティンの声と同時に

監獄の外で何か硬い物が壊れる音がして

バサリと羽音が降ってくる。



ロノとバスティンの視線の先に

いつもの天使よりも全体的にがっしりした天使がいて

ロノとバスティンからゆっくりこちらに視線を移した。








あなた
なんだアレ・・・
ラト
天使・・・・ですが、
いつもと様子が違いますね?





あなた
髪が長い!
ムー
あなた様そこじゃないですよ!!





ベリアン
あなた様っ!お下がりくださいっ
ミヤジ
その天使は今までのとは違う
ただ来るのではなく戦況を見ているんだっ


あなた
なんと



その割にあんまり喋らないけど。





知能天使と通常天使の間なのだろうか。

もしくは通常天使改造版?





ふわりと飛び上がりきょろきょろと周りを見渡して

確かにちょっと考えてる感じがある。



意思疎通は出来るのかな、とまじまじ見上げれば

ベリアンにぐいっと引っ張られた。











ベリアン
あなた様っ!



バスティン
ベリアンさん、
天使は俺とロノが引きつける
ロノ
あなた様連れて先に行ってください!



あなた
え、私も戦ってみたい・・・
ミヤジ
あなた様我儘は駄目ですっ



えぇえ・・・・・

いつも戦ってるのに・・・







凄い勢いでNOと言われて眉を寄せる。

ロノとバスティン、

それにラトが天使を引きつけて走り出したので

とりあえず悪魔の力を解放すれば

3人は監獄に走り込んで行った。




残ったのは、

ベリアン、ミヤジ、フルーレ、ムーだ。













あなた
おい、人数的にも私があっち行ったほうが平等じゃないか?


ベリアン
駄目ですっ!悪魔執事の主であるあなたが生き残るのが最優先なんです!
ミヤジ
君もだよ、ベリアン
天使討伐の為には君が生き残らなくては
フルーレ
そうですよあなた様!
ラトは勝手に行っちゃったんでせめてあなた様は目の届くところにいてくださいっ!





フルーレの言葉に

ベリアンとミヤジがシンクロして頷いて

なんとなく釈然としない。

ラトほど問題児ではないと思うんだ。





こっちのメンバー真面目すぎる、と

口を尖らせた時だった。







うわぁーっ・・、とロノの声が上から聞こえて

バッと顔を上げれば

監獄の上層階の窓から天使が飛び出してきて

その手にはロノの武器、





そして武器の先にぶら下がっているロノ。









あなた
ロノ!
ベリアン
ロノくんっ!!




あなた
馬鹿かっ!
なんで部屋出る前に武器離さないんだ!




ベリアン
っあなた様駄目です・・・!!



下に落とすつもりなのか、

ロノごと手を持ち上げる天使に


受け止める為にぐっと足に力をいれる。


駆け出そうとした私の左手を

ガシッと掴んで止めたベリアンを

振り返りざまに顔面をグーパンした。










ベリアン
っ・・・・!!



あなた
煩いっ喋ってる暇あったらさっさと動け!!ベレンもロノも死んだら終わりなんだぞ!!




ベリアン
っ・・・あ・・・・・・っ!






力の抜けた手を振りほどいて

落ちてくるロノ目掛けてだんっと飛び上がる。


タックルの勢いでロノに飛びつけば

真下に落下していた体が横に逸れて

私ごと地面に転がった。





ぐえって下から聞こえたけれど

真下に落下するよりマシだよな?






あなた
っん!ロノ、無事か?



ロノ
っ・・・あなた様・・・
・・背中も腹も痛いっす・・




あなた
腹?中で腹殴られたのか?




ロノ
・・・・・・もう・・それでイイっす




下敷きになってるロノの腹の上で体を起こして覗き込めば

ロノが微妙な顔で苦笑いする。



うん、喋れるし大丈夫だな。






バサリと降りてきた天使に

ロノを後ろにして構えた。









ロノ
っあなた様!!そいつは・・!



あなた
っ・・・・・おっ?
ロノ
あなた様っ!!





伸ばされた手を蹴り上げれば

大してびくともせずに足首を掴まれる。




さっきのラトとは比べものにならない力に

ぐぐっと片足を引っ張られてじゃり、と地面が擦れた。






ロノ
あなた様・・・・・っ!!





ベリアン
伏せて・・・っ!!





ザッと影が目の前に降ってきて

掴まれた足が解放される。






あなた
ベリアンっ!



天使の手を槍で払ったベリアンの力を解放すれば

フッと鋭く息を吸ったベリアンが

今までにない気迫で天使に斬りかかった。







ロノ
っ・・・すげぇ・・・俺とバスティンとラト3人でも苦戦してたのに・・・



あなた
・・・おとなしいタイプはキレると怖いな?







ガキンっと鋭い音が響き

今までにない硬さに眉を寄せる。

悪魔の力を解放していても入らないダメージに

ぐぐっと体を起こしたロノが叫んだ。




ロノ
ベリアンさんっ・・!
そいつは今までのより丈夫でタフなんだっ!
人類の為に・・ベレンさんの為にっベリアンさんは生き延びてくれ・・・!!








ベリアン
逃げませんっ!!確かにベレンは人類の為に必要ですが・・っ私は大切な主様を・・
っ息子のように思っているロノくんを見捨てません!!














ロノ
ベリアンさん・・・・・






叫んだベリアンに口の端をあげる。





そうして、

目を見開くロノを覗き込んでにこりと笑った。








あなた
もう怖くないな?




ロノ
っ・・・あなた様・・・・










ベリアン
はぁっ・・・!!



ガキンとひときわ高い音がたち

天使がバサリと距離をとる。



ぴしりと乾いた音に目を凝らせば

腕が陶器のようにひび割れ始めて

そこを目掛けたベリアンの攻撃によって

ぼろぼろと天使が崩れ落ちた。





ロノ
た、倒した・・・・?



ベリアン
いえ・・・倒したというより勝手に崩れたというか・・・ロノくん、あなた様、お怪我は?!



あなた
ん、私は大丈夫だ










ロノ
っあなた様!!ベリアンさん!!




ガキンっと響いた金属音に

ぐいっとロノに引っ張られて

再びロノの上に転がる。



パッと顔をあげれば

ベリアンを庇うように剣を払ったバスティンに

相対していたセラフィムがふっと笑った。





セラフィム
隙だらけでつい出てきちゃったけど・・・
相変わらず虫みたいにわらわら出てくるね、君たち悪魔執事は




ラト
・・・・っ!!


セラフィム
今のは惜しかったね?そっちの君が後ろを見なければ危なかったよ
ラト
・・・おとなしく壊されてくれていいんですけどね







イライラしたラトに

セラフィムが鼻で笑ってバサリと飛び上がる。



追おうとしたラトをバスティンがとめて

上空でセラフィムがひらりと手を振った。







セラフィム
新型の問題点もわかったし私はそろそろ失礼するよ、またね、悪魔執事の主










バスティン
・・・・行ったか・・・
あなた様、ベリアンさん、無事か?



ベリアン
私は大丈夫ですよ、バスティンくん
ありがとうございます
ロノ
!ベリアンさん・・・
顔、天使に殴られたんですか?!




ベリアン
い、いえ・・・これも大丈夫です





あ、それさっき私が殴ったやつだな






微妙に目をそらすベリアンに首を傾げて

まだ座り込んでいるロノの横にしゃがむ。



あの高さから落ちた割に

ぴんぴんしているロノは私を見てニカッと笑った。






ロノ
あなた様、ありがとうございます・・・!
ベリアンさんも・・っ俺、帰ったら今までの分も美味いもんたくさん作りますね!!



バスティン
ん・・・・腹が減った



ロノ
お前じゃねぇよ!!
・・・ま、でもありがとな!バスティン




ベリアン
ふふっ・・・ふたりともあなた様の前ですよ







いつもの雰囲気に戻った1階組に

ミヤジ、フルーレが静かに微笑む。

ラトも小さくクフフっと微笑った。







ムー
良かった・・・!
やっとみなさんいつも通りですね!





ミヤジ
あぁ・・・さぁみんな、街に帰ろうか







ミヤジの掛け声にみんなが踵を返す。



バスティンとフルーレがロノを支えて

ミヤジとラトが毒沼を渡る船の準備にむかう。



みんなの後ろから一歩踏み出せば

後ろから伸びてきた腕に一瞬だけ引き寄せられた。









あなた
・・・ん、



ベリアン
あなた様・・・・・ありがとうございます





ムー
っ・・・・・!








左耳に触れたベリアンの口と囁き声に












目の前のムーが悶絶してた。
















(あなた様っキュンですか?!キュンですね?!)

(いや・・・耳に内緒話されるの苦手なんだが)

(だからそれはキュンですよ!!)



(・・・・・そうか・・?)







キュンを求める猫と躊躇いなくグーパンする主様。










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