あの日はいつも通り過ごしていた
お姉ちゃんたちは山菜を取りに行って
颯斗お兄ちゃんと稽古していたり
なんの変哲もない毎日を過ごしていた
その日も、変わらないはずだったのに
悲劇は突然起きる
夏の夜は暑かった
起きたところでどうしようもないから
もう一度寝ようと横になった時
ザシュッビチャッ
さっきまで寝ていたはずの兄たちが
血塗れになって動かない
目の前で何が起きているのが分からない
これほど焦っている颯斗お兄ちゃんは
見たことがなかった
だから逃げるしかなかった
無我夢中で走った
疲れた、苦しい、辛い
喉が激しく灼けるような痛み
口から漏れる嗚咽
どれだけ走っただろうか
颯斗お兄ちゃんが無事か気になり
逃げることなんて忘れ、家に戻った
会いたい、会いたい会いたい
必死に山を登り家に着いた時
家の中から日の当たらないところまで
走って逃げていくところを見た
原型をとどめていない家の前には
片腕を失い、血塗れになった
虚ろな目をして倒れてる颯斗お兄ちゃんがいた
そう言い残し、だんだん冷たくなる身体を
身に感しながらただ絶望感に浸っていた
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。