顔を覗き込むとなんでもない!と顔をそらされてしまった。
どうしたんだろう…?
レンはそう言いつつ時計を指さす。
少ししょんぼりしながら話すと彼は慌てて
と訂正を入れた。
レンって優しいな。
まだ少し気分は悪いが、彼は気分が晴れるような面白い話を沢山してくれた。
そこまで言うとレンは少し考えるように腕を組み
とどこか気まずそうに言った。
よくわからなかったし、特に何の問題点も感じなかったので肯定の返事をした。
レンに連れられて着いたのは、いくつかの部屋が集まった楽屋のような場所だった。
みんなはここで寝ているらしく、入るときに静かにねと言われた。
先に入っていいのかな、と思ったけど彼の優しさに甘えることにしよう。
襲ってくる眠気と戦いながらこくりとうなずく。
寝ぼけた頭でその場に服を脱ごうとするとレンがわたわたしながら
と、叫んだ。
吃驚してそう返すと
叱られてしまった…
何が悪かったんだろう…?
少し顔を赤らめてレンは言った。
意図がわからず戸惑いつつ答えると、そうだけどさ…とさっきより小さい声で言った。
急かすようにぐいぐいと背中を押される。
されるがままに脱衣所に運ばれると勢いよく扉を閉められた。
何か悪いことしちゃったかな…
軽く考えながら服を脱ぐと扉の外から
と上ずった声で告げられた。
心地よい温かさを感じながらシャワーを済ませ、レンのいるところに戻ると、彼はベッドに座っていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。