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第1話

少女
80
2020/11/09 07:28
いじめっ子
ねえ
いじめっ子
私がいつ視界にアンタを入れていいなんて言った?
少女
…ごっ…ごめんな…さい…
少女の声は今にも消え入りそうなほど小さい。
いじめっ子
それで許されると思ってんの?
少女
……
いじめっ子
何か言ってよ!!バシャッ
飲んでいたミルクティーを少女に掛け、缶を投げつけた。
少女
…っ
いじめっ子
土下座しなさいよ。
少女
…ぅ
少女は助けを求める事が出来ない。
助けを求めても誰も助けてくれない。
いじめっ子
はやくして。
言われるままに動くことしか出来ない。
いじめっ子
早く!
少女
…す…み、み…ません…で、した…
少女が頭を下げ、土下座をした。
いじめっ子
ドンッ
少女
…っ
少女は頭を足で下に押されている。
いじめっ子
ふんっ、ほんとにみっともないわ。  ねえ?
取り巻き
クスクス
少女
ぼ、ぼく……
いじめっ子
キモっ。またボクとか言ってるぅ。
取り巻き
きっとそれが可愛いと思ってるんだよ〜。
いじめっ子
ぶりっ子だもんね〜。
少女
……
少女は唇を噛み締めている。
いじめっ子
あーあ。アンタのせいで私の上靴が汚れたじゃない。
いじめっ子
どうしてくれんの?
少女
取り巻き
どうしてくれんのっ?ドカッ
少女
きゃっ
まだ、土下座の姿勢になっている少女を勢いよく蹴った。
少女
プルプル
少女は小さく震えている。
いじめっ子
10分後までに新しい上靴を持ってきなさい。
少女
…そんな…
いじめっ子
じゃないと…
いじめっ子
分かるわね?
いじめっ子
ああ、でも、アンタバカだからわかんなかったわね。ごめんなさい。ニヤッ
少女
……





他の人達は、見ているだけ。
助けも、いじめもしない。
ただ、見ているだけ。
傍観者



少女は、傍観者を見るのが1番辛い。
傍観者は、少女に危害も、助けも与えない。
それが辛い。
助けてくれるかもしれない。
そう、希望を抱いてしまう。
でも、傍観者はただ、見ているだけ。
見て見ぬふり。
傍観者は弱い。
いじめの的になるくらい気の弱い少女より、強い者に合わせて、強い者と同じことしか出来ない者より、誰より弱い。




死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい


どうして少女はこの世に生まれてきたのか
















その夜少女は自殺した。





その知らせを聞いた少女をいじめていた者達は自分の鬱憤を晴らす相手が居なくなったことに残念がり、傍観者達は、ああ、やっぱり、と思っただけだった。
少女の死を悼む者はただひとりとしていなかった。

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