第5話

05.
202
2026/02/05 23:38 更新
リヴァイs.



































集合命令が出たのは、いつも通りだった。












訓練後の中途半端な時間。







全員が揃う広場。












空気も、顔ぶれも、何も変わらない。


















あなたは俺の少し後ろに立っている。






















エルヴィンが前に出た。







背筋の伸びた姿勢。












いつもの冷静な声。



























エ ル ヴ ィ ン
エ ル ヴ ィ ン
 私事だが 、 報告がある 











































その言い方に、違和感はなかった。








“私事”という言葉を、あの男が使うことすら。




























エ ル ヴ ィ ン
エ ル ヴ ィ ン
 王政上層部との協議の結果 ―― 
エ ル ヴ ィ ン
エ ル ヴ ィ ン
 私は 、 婚約することになった 








































空気が止まる。










誰かが、冗談だと思ったのが分かった。







ざわつきは起きない。











理解が追いついていないだけだ。
















次の言葉が来る前に、俺は無意識にあなたを見た。










彼女は――





固まっていた。











顔色が、ゆっくり抜けていく。
















嫌な予感が、背骨を這い上がる。









































エ ル ヴ ィ ン
エ ル ヴ ィ ン
 相手は ―― あなたの名字あなただ 








































一瞬で、世界がひっくり返った。


























リ ヴ ァ イ
リ ヴ ァ イ
 は  ? 
エ レ ン
エ レ ン
 …… え  ? 
コ ニ ー
コ ニ ー
 ちょ 、 ちょっと待てよ …… 








































調査兵団の連中が、完全に混乱している。






さっきまで公認の恋人だった俺達を、何度も見比べる。














俺は、何も言えなかった。













思考が、遅れてやってくる。
















あなた。







婚約。







エルヴィン。

















繋がらない。












エルヴィンは続ける。




淡々と。









容赦なく。

































エ ル ヴ ィ ン
エ ル ヴ ィ ン
     彼女の血筋と立場は 
 王政にとって都合がいい 。
エ ル ヴ ィ ン
エ ル ヴ ィ ン
    調査兵団の存在を守る 
 ためにも 、 必要な判断だ 
 
エ ル ヴ ィ ン
エ ル ヴ ィ ン
 彼女はこの件を知らされていない 。  

















































その瞬間、




あなたの身体が、ほんの少し揺れた。















俺は、反射的に一歩前に出る。










だが、言葉が出ない。














エルヴィンは、俺を見た。









初めて、視線が真正面からぶつかる。
 
























エ ル ヴ ィ ン
エ ル ヴ ィ ン
 リヴァイ 
エ ル ヴ ィ ン
エ ル ヴ ィ ン
 これは決定事項だ 
 





































胸の奥が、冷たくなる。













世界が、俺のものを奪っていく音がした。

















あなたは、俺を見なかった。






見られなかったんだと思う。
















選ぶ余地も、






拒む時間も、






与えられていない顔だった。






























エ ル ヴ ィ ン
エ ル ヴ ィ ン
 以上だ 






































エルヴィンは、そう言って話を終えた。















誰も、動けない。





俺は、拳を握りしめる。












――世界より、お前を選びたかった。















だが、世界が先に、彼女を選んだ。

プリ小説オーディオドラマ