と、彼女はキッチンへと向かいます。
程なくして、なんだか懐かしい匂いがしてきました。あの甘い匂い。
彼女が持ってきたお皿には、そうオムライスが盛られています。
2人で手を合わせて
「いただきます」とスプーンを手に持ちます。
スプーンで、ふわふわな卵に切り目をつけるように優しく切っていきます。
すると、ケチャップで味つけられたご飯に、ウインナー、ピーマン、玉ねぎなど、細かく切られた食材が混ぜられています。
それを卵と共にスプーンで掬って、口の中へ運びました。
優しく柔らかい卵と、トマトの味がするご飯の味が、口の中で広がりました。
この懐かしい味、、と僕はスプーンを止めることがなく、ぺろっとオムライスを食べてしまいました。
と、似たような光景、はるちゃんと再会した僕のままです。
このオムライスで元気をもらって、今の僕があいます。
小説家として、なんとか結果を出すことができました。
本当の本当に、はるちゃんには感謝しかないです。
気づけば、僕の口から感謝の言葉が漏れていました。
とまたはるちゃんはにっこり笑います。
その笑顔を見て、僕の心の奥はなんだか熱くなりました。
まさか、まさか、まさかの、はるちゃんの付き合うことになるなんて、、
ドキドキが止まりません…!嬉しすぎます!
2人で皿をキッチンへと運び、僕が洗ってはるちゃんが拭いていきます。
彼女のキラキラ輝く笑顔。
この笑顔は僕の心を照らしてくれます。
彼女のこの美味しい手料理。
この料理は僕に明るさと勇気をくれます。
あそこでもし、僕が彼女に振られて泣いていなければ、はるちゃんとこうして再会することは
なかったでしょう。
そう考えると、運命って怖いですよね。
彼女と出会ってからは、本当に僕の人生は
変わりました。
そして、彼女が作ってくれた“オムライス”。
フワフワな卵の優しさは、今でも覚えています。
彼女が作ったオムライスは、
ほんのり恋のように甘く、充実したはるちゃんとの日々のように、ご飯の味が濃く美味しかったです。
「いただきます」と「ご馳走様」
こんな素敵な彼女と、ずっと一緒に言いたいです。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!