魔法局の前、あの人の姿を見ていつになく緊張する。
なんというか、私の柄じゃないな。
なんて我ながら思う。
私の声で白髪が靡いで彼の糸目が私を向いた。
よくよく考えたらこれ見えてるんだろうか。
いや見えてるんだろうけども。
エスコートされて、私はどこかへと歩き出した。
恐る恐る私は口を開いた。
神覚者様に反論しろと仰っているので御座いましょうか?
今エスコートをされていなかったら私はおそらく、しゃがみ込んで頭を抱えていたと思う。
いや、その自信がある。
意を決して私は口を開いた。
そもそも、それが今の話となんの関係があるのだろうか。
見えてきた浜辺には、どこか既視感があった。
ここは魔法局から少し入ったところにある海。
こんな場所絶対に入ったことないはずなのに。
人魚姫
その言葉に、心が揺られた。
海に揺られている様な不思議な気分。
なんで?どうして?そんな言葉が頭を駆け巡った。
溢れた声は震えていた。
知らない。と言いたかった。
そんなこと記憶になかった。
なのに、その言葉だけは言いたくなかった。
嘘をついてしまうから。
そんな言葉が頭に浮かんでは消える。
何が嘘になるの?
私が思ったのは全部真実じゃない。
何が?
なんで?
この方はなんの話をしているの?
いや私は
この話を知っている。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。