第39話

USJ編④
226
2022/08/07 02:01
琴花 あなた
ッ、..はぁ...ッ
久しぶりにした全力疾走はあまりにも惨めだと、走りながらでも分かった

運動は得意な方じゃないから正しいフォームなんて分かんないし、お世辞にも速いとは言えない

考え事をしながら走るという慣れないことをしているからかヤケに疲れるのも早い

さっきはあんなに言ったけどどうやって先手を打つかもまだ決めてない
とにかく考え続けた
時には嫌な未来とか想像して嫌な気分になるし、上手くいきそうだと思っても1つ大きな欠陥があったりした

もう頭の中ぐちゃぐちゃだ
琴花 あなた
(一旦考えるのやめよう、とにかく現況を知らなきゃ)
琴花 あなた
(考えるのはそれからだ)
瞬時に正しい判断
これがヒーローのモットーなんだろうけど
私は間違いのない判断がしたいの
それが勝利に導くものであろうとなかろうと、その場を打開するだけのものでもいい

私の意見でヒーローが活躍してくれるなら何でもいい
琴花 あなた
ッ!(見えた)
琴花 あなた
(まだ戦いは優勢、でも後方の2人がまだ何の動きも見せていない)
ぱっと見た感じ、その場にいるのは複数名のヴィランと、それと対峙している相澤先生

私の近くにはUSJの出入口があり、そこには13号先生の近くに複数名の生徒と霧のヴィラン

他の生徒はみんな私同様に散らばってる感じだ



今ここでこの場を打開できるのはヒーローのみ
現在ここにいるヒーローは相澤先生と13号先生のみ
オールマイトが遅れて来ると言っていたけれど、正確な時間が分からないのでオールマイト抜きで考えていくことにした

オールマイトがもし来ればそれは幸運とでも思うしか今はない
琴花 あなた
(とにかく、こちら側の戦力を増やすしかないな)
私が言っても足手まといにすらなれない
多少の援護はできても、相澤先生からすれば私は集中力を削ぐ原因でしかない

ならばとにかくヒーローを呼ぶしかない
確か上鳴くんが個性で通信できないか頑張ってたはず
その上鳴くんは今近くにいない...

.....かなり詰みに近い
琴花 あなた
.....少々ギャンブルといこうか
可能性は半分以下だけど、誰かがヒーローを呼びに行くことが出来るのなら、その子に全て託そう
琴花 あなた
アイリス、西洋の花言葉は"Messageメッセージ"
琴花 あなた
(このメッセージに私の個性を乗せることが出来ればいいんだけど)
この個性アイリスはmessageつまり手紙のような役割を持つ花
渡し手に花弁が纏い、渡し手が受け手に接触できた瞬間にアイリスの花弁が効力を発揮する

効力は今のところ伝言くらいだけど、もし個性も乗せられるのであれば...


自分の個性がそこまで便利なものだとは思ってない
でも、もしできるのなら
もし私の力量がそれに足りなくても、私が頑張ってどうにかなるものなら
琴花 あなた
やってやるよ
ヒーロー科1年A組ならここで諦めない
例えどうしようも無いことでもどうにかして足掻いてみせる

もしここで私がこれを達成できなかったとしても、私が足掻いて見せたら
琴花 あなた
(1年A組ですって、胸張って言えるかな)
私は雄英に来た
でも、少しだけ..ほんの少しだけまだ躊躇いが残ってた

みんなは本気で雄英に臨んできているのに、私はただ私の花を世界中に届けたいだけ

本気じゃない

そんな私が胸張って言えることなんてないんだと思ってた
でも

今までもそうだった
こんなんじゃ、いつかあの人に会った時に、何も自慢話出来ない

だから...せめて、
「私は雄英の1年A組にいるんだよ」って言いたいんだ
琴花 あなた
スゥ--
深く息を吸い
アイリスに花言葉気持ちを乗せる
琴花 あなた
ハナミズキ、
西洋の花言葉は"Durabilityデュラビリティ"
durability...和訳すると永続性、耐久性
すると、私の言葉と共にアイリスの花弁が消えた

しかし、それと共に事態も急変した
琴花 あなた
ッ!
相澤 消太
ッ、
琴花 あなた
(だめだ..早くもこっちの希望が折れる)
遠くで相澤先生と謎の手まみれのきっしょく悪い男が戦っていたけど、きっしょく悪い男の手が相澤先生の肘に触れた瞬間、皮膚が崩れ落ちた


こんなのイレギュラーすぎる


あんな個性を所持しておいて初めから仕掛けてこなかったということは、それ以上の隠し球を持っているから余裕を持ってた、ってことになる

そうなると、現状もう私たちに抗う術は0に等しくなる
琴花 あなた
(...ううん、私が折れてる場合じゃない。とにかく応援呼ばなきゃ。呼ぶことさえ出来りゃ勝ち確なんだ)
ふと13号先生の方を向くと、霧のヴィランが13号先生の身体を分解している所だった
琴花 あなた
うそ、
流石に冷静さが欠かれるような現状に吐き気がした

どうしてこうも厄災が重なる
誰がこんなことをした
誰が悪い

どうでもいい事のはずなのに心からどんどん出てくる愚痴


焦ってる
みんな焦ってる
このままだと悪い方にしか転がらない
琴花 あなた
ッ、...スゥ---、ハァ---
琴花 あなた
(逆に今がチャンスだ)
そう思った生徒が他にもいたのか、飯田くんが走り出した

しかし、足止めには手強すぎるヴィラン
逃がすまいとワープゲートを展開してきた
琴花 あなた
ブローディア!!
瞬時に飯田くんの背後でブローディアが開花し、霧を阻止した

その隙に残りのメンバーが霧に畳み掛けた

即興にしては中々のチームワークだと自惚れそうになったけど、咄嗟のガバガバチームワークだ
本番じゃそうはいかないけど
琴花 あなた
(及第点だよね、せんせ)
私はすぐに入口付近に駆け付け、みんなと集合した
麗日 お茶子
ッ!あなたちゃん!!
瀬呂 範太
琴花!助かった!!
琴花 あなた
ううん
一瞬だけど、アイリスの花弁が飯田くんに纏ったのが見えた

後は私の個性が上手く働いてくれれば、少しは勝利への道が近くなるはず...
その時、謎の音が微かに外から聞こえてきた

音は次第に大きくなり、仕舞いには


「ドォォォォン!!!」



扉を破壊した
琴花 あなた
(う、ドアの破片が頭に)
でも、そんな事どうでもよかった

とりあえず勝率が上がったことは確かだ
オールマイト
もう大丈夫
誰もが願ったその時が来て
皆の表情が絶望から希望に変わった
オールマイト
私が来た
琴花 あなた
(お、これがネットで見たオールマイトのテンプレか)
ということはどうでも良く、ただ、私にはひとつ懸念すべき点がある
琴花 あなた
(あのゴリゴリマッチョの怪物...オールマイトと相性悪いんじゃ)
心の隅でぽつりと呟かれた言葉が現実になるなんて、思わないよ



















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