登場︰あなたちゃん、hsrb、hbc、akg
hsrbさんmain
注意︰裏切り、死ネタ
人を選ぶジャンル
備考︰友達以上恋人未満
あなたの名前(女子)ちゃん(新人)ヒーロー
【 きっと、好きになってしまったせい。 】
彼女は言いました。
「私を殺してくださいな」
彼女の姿は、真っ赤に燃えた空に、黒い影を落とす。
目の前の“指名手配犯”が何かほざいている。
数週間前に町外れの路地裏で一般市民の虐殺を行った、
としてヒーロー本部から生け捕りの命令が下されたのは
つい二日前のことであった。
しかしそれが事実ではないことを知っているのは
俺とあなたの名前(女子)だけ。
あなたの名前(女子)が虐殺なんかしないことくらい彼らならすぐに
分かるだろうが、本部が指名手配を撤回していないのを
見ると、彼らの声は聞き入れられなかったのだろう。
あるいは、そもそも声など上げなかったか。
七か月前にヒーローになったときから変わらない、
光の無いくすんだ青色の瞳。
その目に映る世界が、どれだけ荒んだものかは
俺には知る由もないし、知ったところで理解できるものでは
ないだろう。
深いため息が二人きりの店内に響く。
図星だった。
焦った挙句、更にいらないことを口にしてしまった。
カウンターに頬杖をつき、考え込むあなたの名前(女子)。
何でもない動作のはずなのに、それをきっかけに
無性にあなたの名前(女子)が離れていくのが怖くなってしまった。
つい、声をかけてしまった。
きっと俺は今とても情けない表情をしているに違いない。
そうじゃなきゃ、あなたの名前(女子)がこんなに優しい表情で俺を
覗き込んでくるはずがない。
そうだ、そうに違いない。
刹那、店内に響いたリップ音が、俺の人生を狂わせた。
数ヶ月後、あなたの名前(女子)がパトロール中のマナとウェンの前に現れ、
数時間の鬼ごっこの末、雑居ビルの屋上に追い詰められた。
俺には作戦の一つも教えてくれやしなかったが、
それも作戦だったのだろう。
もしくは、俺を最後まで信用しなかったか。
俺の唇を奪っておいて、何たる仕打ちだろう。
夕焼けで真っ赤に染まった空に、あなたの名前(女子)の中の闇をそのまま
表したかのようなシルエットが映る。
「私を殺してくださいな」
暗くなってきた空にかろうじて見えていた影が、
ぐらりと傾いて地へ堕ちていった。
屋上から建物の裏が見えないことは分かっていた。
たとえ彼らがあなたの名前(女子)にレイピアや大剣を向けなくても彼女自ら
人生を終わらせる予定であったことも、
彼女の両親と姉を殺すためにその綺麗な手を汚したことも、
彼女には未来を誓った婚約者がいたことも、
真っ赤に染まった彼女を抱いて、路地裏へと歩き出す。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。