兄さんの顔には、本当に失望したという表情しか浮かんでおらず、巫山戯ている様には見えなかった
迚も真剣で、真っ直ぐな眼差しだけれど、明らかに私に軽蔑の目を向けている。
あの兄さんにこんな顔させてしまうなんて、私は妹失格だ、なんて思いながら次の言葉を予想していた。
出来ればその顔で、その言葉を言わないで欲しいなぁ、と。
そんな妹の願いを知ってか知らずか。
残酷にも、その言葉は紡がれた。
苦しそうにしている妹が頑張って口を開いて喋っている間も、先ほどと変わらない冷たい瞳で見下ろす太宰。
その言葉を最後に、私は最後まで必死に開いていた瞼を静かに閉じた。
国木田side
俺は今、史上最大と云って善い程混乱に陥っている
しかも、普段ならこの位のミスだと、太宰は許す処か過度な心配をしているというのに


















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!